- 宅建業法ー12.住宅瑕疵担保責任履行法
- 1.住宅瑕疵担保責任履行法とは
- 住宅瑕疵担保責任履行法とは
- Sec.1
1住宅瑕疵担保責任履行法とは
本章からは1問の出題が予想される。宅建業法の関係法令として平成22年度試験から出題されており、正式名称は、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」という。
「資力確保措置に関連する事項」に絞って学習をすればよいであろう。 |
住宅瑕疵担保責任履行法(以下、「履行法」)とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に規定する瑕疵担保責任の実効性を担保するため、新築住宅を販売した宅建業者等が倒産等に陥った場合でも補修費用の支払が受けられるよう、宅建業者等に保証金の供託か、保険への加入を義務付けた法律である。
以下、条文番号は、注記のない限り履行法のものを指す。
■品確法の内容
品確法において「瑕疵」とは、種類または品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう。したがって、品確法に規定する「瑕疵担保責任」とは、(新築住宅の一定の部分が)種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任をいい、民法に規定する「目的物の種類・品質に関する契約不適合責任」と同じ意味である。品確法は、この民法の契約不適合責任に関する規定を修正し、その強化を図る法律である。その概要は、
宅建業者が、自ら当事者(売主または請負人)となって、
① 「新築住宅」について、 ② 「売買契約」または「請負契約」を締結するときは、 ③ 物件の「構造耐力上主要な部分(基礎・土台・床・屋根・柱・壁・梁等)」の瑕疵を担保する責任は、 ④ 物件の引渡しのときから「10年間」とする。 |
というものである。
■履行法制定の経緯
品確法で「目的物の種類・品質に関する契約不適合責任」の強化は図られたが、売主や請負人にその義務を果たすだけの資力がなければ、結局、契約不適合責任をいくら強化しても相手方は現実に救済されず、無意味である。そこで、平成19年、買主や注文者が一般消費者である場合に、売主または請負人である宅建業者に「資力確保措置」を執ることを義務付ける本法の制定に至った。
施行されたのは平成21年10月1日であり、上記のとおり、平成22年度試験から毎年1問出題されている。
Point 品確法は業者間取引でも適用があるのに対し、履行法は業者間取引には適用されない。
■基本構造
この法律の適用対象となるのは、
宅建業者が、
① 自ら売主として、 ② 宅建業者でない買主に対し、 ③ 「新築住宅」を販売する |
という場合である。8種制限の構造と似ており、媒介・代理や業者間取引などは一切対象とならない。
Point 新築住宅とは、品確法に規定する、新たに建築された住宅(建設工事の完了の日から起算して1年を経過しないもの)で、まだ人の居住の用に供したことのないものをいう(法2条1項、品確法2条2項)。
この法律の適用対象となる場合、次節の「資力確保措置」を執らなければならない。
【参考】
この法律は、「建設業者」による住宅建設瑕疵担保保証金の供託についても定めている。内容は宅建業者におけるそれと酷似しているので、別途学習する必要はなく、存在だけ知っておけばよい。 |