- 刑法(各論)ー2.生命•身体に対する罪
- 2.殺人の罪
- 殺人の罪
- Sec.1
1殺人の罪
■殺人罪
刑法199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
(1) 構成要件
人を殺すこと。
① 主体
限定なし。
② 客体
行為者を除く自然人である。
③ 行為
殺人の故意をもって人を殺すことである。手段・方法のいかんを問わない。
(2) 刑罰
死刑又は無期若しくは5年以上の懲役。
未遂(刑法203条)・予備(刑法201条)の処罰規定あり。
■自殺関与・同意殺人罪
刑法202条(自殺関与及び同意殺人)
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受けもしくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。
他人の自殺に関与する行為を処罰するものであり、前段を「自殺教唆・幇助罪」、後段を「同意殺人罪」という。
(1) 自殺関与罪(自殺教唆・幇助罪)
人を教唆し、もしくは幇助して自殺させること。
① 主体
限定なし。
② 客体
行為者を除く自然人である。自殺の意味を理解し、自由にその意思を決定できる能力を有する者でなければならない。したがって、幼児や高度の精神病者等の自殺の意味を理解せず自由に意思決定できない者に自殺を仕向ける行為は自殺関与罪ではなく、殺人罪の間接正犯とされる。
③ 行為
教唆又は幇助して自殺させることである。
(2) 同意殺人罪(嘱託・承諾殺人罪)
被殺者の嘱託を受け、もしくは承諾を得てこれを殺すこと。
① 主体
限定なし
② 客体
死の意味を理解し、自由に意思決定をなし得る能力を有する者である。したがって、幼児の承諾や、強制されてやむを得ずした嘱託や承諾は無効であり、それに基づいて被害者を殺した場合、殺人罪の構成要件に該当する。
③ 行為
被害者から嘱託を受け、もしくはその承諾を得て殺すことである。
嘱託とは、被害者がその殺害を依頼することであり、承諾とは、被害者が殺害に同意することである。
(3) 刑罰
6月以上7年以下の懲役又は禁錮。未遂(刑法203条)の処罰規定あり。