- 刑法(総論)ー8.未遂論
- 2.未遂犯
- 未遂犯
- Sec.1
1未遂犯
■未遂の意義
未遂とは、犯罪の実行に着手して、これを遂げない場合をいう。(刑法43条)
犯罪の実行行為を開始したが、その行為が構成要件を充足するに至らず、犯罪が完成しなかった場合である。
cf 既遂
犯罪の構成要件を充足し、犯罪が完成することを既遂という。
cf 予備
実行の着手に至る前の段階である。
■未遂犯の処罰
本来、構成要件を充たさなければ、犯罪は成立せず、処罰されないはずである。しかし、犯罪が既遂に至らない段階でも、法益保護の見地から、その行為の危険性が著しく、放置しえないものは処罰する必要がある。そこで設けられているのが未遂犯である。刑法は、「未遂を罰する場合は、各本条で定める」(刑法44条)として、特に重大な犯罪については既遂に至らなくても、未遂の段階で処罰することにしている。
刑法199条
人を殺した者は、死刑又は無期懲役もしくは5年以上の懲役に処する。
刑法203条
刑法199条の未遂は、罰する。