• 刑法(総論)ー8.未遂論
  • 2.未遂犯
  • 未遂犯
  • Sec.1

1未遂犯

堀川 寿和2022/02/10 10:43

未遂の意義

未遂とは、犯罪の実行に着手して、これを遂げない場合をいう。(刑法43条)

犯罪の実行行為を開始したが、その行為が構成要件を充足するに至らず、犯罪が完成しなかった場合である。

cf 既遂

犯罪の構成要件を充足し、犯罪が完成することを既遂という。

cf 予備

実行の着手に至る前の段階である。

未遂犯の処罰

本来、構成要件を充たさなければ、犯罪は成立せず、処罰されないはずである。しかし、犯罪が既遂に至らない段階でも、法益保護の見地から、その行為の危険性が著しく、放置しえないものは処罰する必要がある。そこで設けられているのが未遂犯である。刑法は、「未遂を罰する場合は、各本条で定める」(刑法44条)として、特に重大な犯罪については既遂に至らなくても、未遂の段階で処罰することにしている。

刑法199条

人を殺した者は、死刑又は無期懲役もしくは5年以上の懲役に処する。

刑法203条

刑法199条の未遂は、罰する。

 

未遂犯の種類

(1) 実行行為が終了したか否かの区別

着手未遂

実行の着手はあったが、実行行為が終了にいたらなかった場合である。

実行未遂

実行の着手があり、実行行為が終了したが、結果が発生しなかった場合である。

 

(2) 犯罪が完成しなかった原因による区別

障害未遂

未遂にとどまった原因が自己の意思によらない場合である。

中止未遂

未遂にとどまった原因が自己の意思による場合である。