• 刑法(総論)ー7.責任論
  • 6.過失
  • 過失
  • Sec.1

1過失

堀川 寿和2022/02/10 10:38

過失の意義

(1) 意義

過失とは、注意義務違反によって犯罪事実を認識又は認容しない場合である。つまり故意がない場合である。

 

(2) 過失犯の処罰

刑法は、過失による行為は原則として処罰せず、特別の規定がある場合に限って処罰することとしている。(刑法38条1項)特別の規定としては、過失傷害罪(刑法209条)や過失致死罪(刑法210条)等がある。

過失の種類

(1) 認識ある過失と認識なき過失

認識ある過失

犯罪事実は認識したが、結果発生を認容しなかった場合である。

認識なき過失

犯罪事実を全く認識しなかった場合である。

 

(2) 通常の過失と業務上過失

通常の過失

通常、過失というとこの通常の過失をさす。

業務上過失

業務上過失とは、行為者が業務上必要な注意を怠ったことによって、犯罪事実を発生させた場合である。ここでいう業務とは、社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務をいう。業務とは、通常、仕事のことをさすが、ここでいう業務はそれより広い意味でとらえる。したがって、反復継続して車を運転することが予定される場合には、仕事でなくても業務となる。

ex)業務上失火罪(刑法117条の2)、業務上過失致死傷罪(刑法211条)

 

(3) 軽過失と重過失

軽過失

通常の過失のことである。

重過失

通常の過失に対して、行為者の注意義務違反の程度が著しい過失である。わずかな注意で結果が予見でき、かつ結果の発生を容易に回避することができたにもかかわらず、これを怠って注意義務に違反したような場合である。