- 刑法(総論)ー7.責任論
- 2.責任能力
- 責任能力
- Sec.1
1責任能力
■責任能力の意義
(1) 意義
責任能力とは、構成要件に該当する違法な自己の行為について、責任を負う能力である。
(2) 責任能力の必要性
責任とは、行為者に対する非難可能性である。行為者に非難を帰するためには、その者が有責に行為する能力である責任能力を有していなければならない。責任能力があって初めてその者に道義的非難を加えることが可能となるからである。
■心神喪失と心神耗弱
(1) 心神喪失(責任無能力)
① 意義
心神喪失とは、精神の障害によって、行為の是非を弁別する能力(是非弁別能力)がなく、又はその弁別にしたがって行動する能力(行動制御能力)がない者をいう。
② 効果
心神喪失者の行為は罰しない(刑法39条1項)とされており、責任が阻却され、その者の行為は犯罪とならない。
(2) 心神耗弱(限定責任無能力)
① 意義
心神耗弱とは、精神の障害によって、是非弁別能力又は行動制御能力が著しく低い者をいう。
② 効果
心神喪失と異なり、責任が阻却されることはないが、刑が減軽される。(必要的減軽 刑法39条2項)