- 刑法(総論)ー6.違法論
- 8.法令による行為
- 法令による行為
- Sec.1
1法令による行為
■法令による行為
(1) 法令による行為の意義
法令による行為とは、法律、命令その他の成文法規に基づいて行われる行為をいう。
(2) 種類
法令行為には、次のようなものがある。
① 公務員の職務行為 ② 私人の権利行為 |
① 公務員の職務行為
公務員の職権職務とされている行為をいう。
a) 司法警察職員の被疑者・被告人の逮捕・勾留・住居への立入捜査等
b) 刑務官の死刑・自由刑の執行等
これらはそれぞれ逮捕監禁罪(刑法220条)、住居侵入罪(130条)、殺人罪(刑法199条)等の構成要件に該当するが違法性を欠くため、犯罪とはならない。
② 私人の権利行為
a) 私人の現行犯人逮捕
逮捕罪の構成要件に該当するが違法性を欠くため、犯罪とはならない。
b) 親権者の懲戒行為
暴行罪の構成要件に該当するが違法性を欠くため、犯罪とはならない。
(3) 効果
法令による行為は、法令自体がそれを正当として許容するものであることから、違法性が阻却され犯罪とならない。