• 刑法(総論)ー6.違法論
  • 8.法令による行為
  • 法令による行為
  • Sec.1

1法令による行為

堀川 寿和2022/02/10 10:24

法令による行為

(1) 法令による行為の意義

法令による行為とは、法律、命令その他の成文法規に基づいて行われる行為をいう。

 

(2) 種類

法令行為には、次のようなものがある。

公務員の職務行為

私人の権利行為

 

公務員の職務行為

公務員の職権職務とされている行為をいう。

a) 司法警察職員の被疑者・被告人の逮捕・勾留・住居への立入捜査等

b) 刑務官の死刑・自由刑の執行等

これらはそれぞれ逮捕監禁罪(刑法220条)、住居侵入罪(130条)、殺人罪(刑法199条)等の構成要件に該当するが違法性を欠くため、犯罪とはならない。

② 私人の権利行為

a) 私人の現行犯人逮捕

逮捕罪の構成要件に該当するが違法性を欠くため、犯罪とはならない。

b) 親権者の懲戒行為

暴行罪の構成要件に該当するが違法性を欠くため、犯罪とはならない。

 

(3) 効果

法令による行為は、法令自体がそれを正当として許容するものであることから、違法性が阻却され犯罪とならない。