- 宅建業法ー9.8種制限
- 8.所有権留保等の制限
- 所有権留保等の制限
- Sec.1
1所有権留保等の制限
■所有権留保等の制限
「所有権留保」とは、不動産の売主が、売買代金担保のため、売買代金の支払いがあるまでは売買物件の所有権(実際は登記)を自らに留めおくことである。
買主としては、登記を移転してもらわなければ完全な所有者となれないので一所懸命に代金を支払う。したがって、代金債務の担保としては有効なものである。しかし、買主にとって所有権留保は大きな危険を伴うので、宅建業法は、所有権留保を原則として禁止する。
もちろん、売主に対して、「不動産は無担保で販売せよ」といった無茶なことを要求するわけではない。何も担保となる物がないような場合は、例外として所有権留保も認められている。
① 原則 … 宅建業者は、自ら売主となる割賦販売等の売買を行った場合には、物件を買主に引き渡すまでに、登記その他の売主の義務を履行しなければならない。
② 例外 … ただし、次の場合はこの限りでない。 (a) 買主の支払った金銭が、代金の10分の3を超えないとき (b) 買主が、所有権の登記をした後の残代金の支払いを担保するための抵当権や先取特権の登記申請に協力せず、残代金を保証する保証人をたてる見込みもないとき |
「提携ローン付き売買」とは、買主が売買代金を銀行等から借り入れ、そのローンの支払いを宅建業者が保証するものである。
所有権留保の禁止を脱法するための譲渡担保も同様に禁止する。例外は上記②と同じである。「譲渡担保」とは、一旦権利を買主に移転するが、その後、債権の担保のために売主に権利を戻す形で設定される担保である。たとえば、Aが不動産をBに譲渡し、その後BがAに譲渡することによって、Aが当該不動産の登記を取得する場合などである。
この場合、一旦権利を移転することで、たしかに所有権留保ではなくなるが、結局所有権留保と同じ効果をもたらすので禁止するのである。