- 供託法ー16.執行供託
- 3.金銭債権に対して転付命令が発せられた場合の供託
- 金銭債権に対して転付命令が発せられた場合の供託
- Sec.1
1金銭債権に対して転付命令が発せられた場合の供託
■金銭債権に対して転付命令が発せられた場合の供託
(1) 転付命令が第三債務者に送達されるまでに、転付命令に係る金銭債権につき他の債権者の差押え、仮差押え、配当要求があった場合
転付命令は効力を生じない(民執法159条3項)。転付命令は、差押えの競合があるときその効力を発生しない。
(2) 転付命令の送達後、確定前の場合
転付命令が発せられたが、それが確定しないうちは単に差押えの効力が生じているにすぎない状態であるため、第三債務者Bは、民執法156条1項により差し押えられた金銭債権の全額または差押金額を供託することができる。
(3) 転付命令が確定した場合
転付命令が確定した後は債権移転の効力が生じ、CとBとの関係は通常の金銭債権における債権者と債務者との関係となる。したがって、民執法156条1項に基づき供託することはできない。Bは直接Cに弁済しなければならないことになる。しかし、転付命令の確定を第三債務者Bが知ることは通常考えられない。そこで、実務では、供託の記載から転付命令が確定している事実が認められる場合を除いて、民執法156条1頃に基づいて供託の申請があれば受理する扱いとなっている(昭55.9.6民四5333号)。
(4) 転付命令と他の差押えとが競合した場合
転付命令送達後に更に他の差押え、仮差押え、配当要求がなされた場合、転付命令が確定すればそれが第三債務者に送達されたときに遡って効力が生ずるため、差押えの競合があったことにならない。したがって、民執法156条2項による供託義務は負わない。この場合、第三債務者には転付命令が確定したか不明であることから、民執156条1項または2項を根拠として供託の申請があったときは受理する扱いである(昭55.9.6民四5333号)。