• 宅建業法ー9.8種制限
  • 6.損害賠償額の予定の制限
  • 損害賠償額の予定の制限
  • Sec.1

1損害賠償額の予定の制限

堀川 寿和2021/11/24 11:29

損害賠償額の予定の制限

 「損害賠償額の予定」とは、契約の相手方が債務不履行になった場合に備え、あらかじめ損害賠償額を決めておくことである。損害額の証明が困難かつ面倒なことから、当事者があらかじめする特約の効力を認めるものである。しかし、この予定額があまりに高額であると、やはり買主に酷な結果となる。

 そこで、以下の規定が置かれた。


① 宅建業者は、自ら売主となる売買契約において、債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額の予定又は違約金を定めるときは、合算して代金額の10分の2を超えてはならない。
② これに反する特約は、10分の2を超える部分は無効とする。



 「合算して」10分の2を超えられないことに注意。そうでないと、損害賠償額の予定2割、違約金2割、慰謝料2割などと、名目さえ変えればいくらでも取れることになって無意味になる。なお、手付は契約締結時に交付されるものであり、損害賠償は債務不履行により解除された後に交付するものである。

 また、手付の場合と同じく、10分の2を超える額を定めた場合は、損害賠償額の予定そのものが無効となるのではなく、10分の2を超える部分だけ無効となる。

 本条は「損害賠償額の予定等」を定めた場合の規定なので、それを定めなかったときには適用がない。損害賠償額の予定をしなかった場合は、民法の原則どおり、売主が損害を証明して3割でも4割でも請求すればよい。