- 宅建業法ー9.8種制限
- 5.自己の所有に属しない物件の売買契約締結の制限
- 自己の所有に属しない物件の売買契約締結の制限
- Sec.1
1自己の所有に属しない物件の売買契約締結の制限
■自己の所有に属しない物件の売買契約締結の制限
長々とした表題であるが、『自己の所有に属しない物件』とは、『他人物』と『未完成のため、その宅建業者の所有に属さない物件(未完成物件)』を含むので、このような言い方になる。
『他人物』も『未完成物件』も、民法では売買してもかまわないが、宅建業者が自ら売主となって行うそれらの売買は禁止される。相手方が、きちんと所有権を手に入れられない危険性が高い取引だからである。
裏を返せば、相手方に所有権を移転できる確実な見込みがあれば話は違ってくる。まずは規定の内容を確認しよう。
① 原則…宅建業者は、自己の所有に属しない物件について、自ら売主となる売買契約(予約を含む)を締結してはならない。
② 例外…次の場合はできる。 (a)他人物(完成物件)の場合 i) 業者が物件を取得する契約(予約を含む)を締結しているとき(ただし、その契約が停止条件付きの場合は除く) ii) 業者が物件を取得することが明らかな場合で、国土交通省令で定めるとき (b)未完成物件の場合 業者が手付金等の保全措置をとったとき |
※ この場面では、「契約」とその「予約」は同一に扱ってよい。
例外に挙げられているものは、まさに相手方に所有権を移転できる確実な見込みがある場合といえる。停止条件付の場合が除かれるのは、条件が確実に成就するかわからないからである。
未完成物件については、手付金等の保全措置がとられている場合には、少なくとも買主の財産的損害は防げるので、契約できるとした。なお手付金等の額が少なく保全の必要のない場合にも契約できる。