- 民事保全法ー5.保全執行に関する手続
- 1.保全執行手続総則
- 保全執行手続総則
- Sec.1
1保全執行手続総則
■保全執行手続総則
(1) 保全執行機関
① 保全執行裁判所及び執行官
保全執行は、債権者の申立てにより、裁判所又は執行官が行う(民保法2条2項)。
② 申立ての方式
保全執行の申立ては、職分管轄のある執行機関に対して、書面でしなければならない。
(2) 保全執行の要件
① 執行文の要否
保全執行は、保全命令の正本に基づいて実施する。執行文の付与を要しない。
保全執行は保全命令が発せられた後、迅速に実施されるため、執行文により執行力の存在を公証する必要がないからである。ただし、保全命令に表示された当事者以外の者に対し、又はその者のためにする保全執行は執行文(承継執行文)の付された保全命令の正本に基づいて実施する(民保法43条1項)。
② 執行機関
保全執行は、債権者に対して(債務者ではない!)保全命令が送達された日から2週間を経過したときは、これをしてはならない(民保法43条2項)。保全命令は緊急性があるため発令されるものだからである。
cf 強制執行の場合には、このような規定は存在しない。
③ 保全命令の送達
保全命令は債務者にも送達されるが、保全執行は保全命令が債務者に送達される前であってもこれをすることができる(民保法43条3項)。保全執行の緊急性と密行性による。
cf 強制執行は債務名義が債務者に送達された後でなければ開始できない点と比較(民執法29条)。
(3) 民事執行法の規定の準用
保全執行(仮差押え、仮処分の執行)については、特別の定めがある場合を除き、民事執行法の強制執行に関する規定が準用される(民保法46条)。