• 宅建業法ー9.8種制限
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1総説

堀川 寿和2021/11/24 11:03

 本章からは毎年2~3問出題される。クーリング・オフは出題頻度が高く、重点的に知識をつける必要がある。事例で出題されるパターンが多いので、過去問等を通じて形式にしっかり慣れてもらいたい。その他にも、民法の規定を修正・補充して素人であるお客を守ろうとする規定が登場する。取り組みやすいはずなのでしっかりと取り組もう。概要の理解重視で、細かい数字の暗記等は後回しでもよい。

総説

 宅建業者が、「自ら売主となって」取引を行う場合のみ、これからみていく8種の厳しい制限が課せられる。まずはその趣旨を検討しよう。

 媒介や代理の場合は、業者は、媒介(代理)手数料によって収益を得る。その手数料(報酬)は、宅建業法によって厳しく上限が課されている。したがって、大きく儲けるのは難しい。

 一方、業者が「自ら売主」となる場合には、物件を安く仕入れて、高く売りさえすれば大きく儲かる可能性がある。すると、素人である買主の無知につけ込んで、とにかく自分に有利な売買契約を締結しようとする業者が出てくるおそれがある。これを防ぎたいというのが8種制限の趣旨である。

 この趣旨から、重要なルールが導かれる。

 それは、8種制限は、「宅建業者が売主、素人が買主」という場合にのみ適用され、それ以外の場合にはすべて適用されないということである。

 すなわち、買主も業者である場合(業者間取引)はもちろん、売主が業者以外で買主が業者の場合、業者が媒介・代理をする場合などすべて適用されない。



Point1 業者Aが自己の所有地の売買の媒介を、他の業者Bに依頼する場合、Bは「売買の媒介」なので8種制限は適用されないが、Aにとっては「自ら売主」なので8種制限の適用がある


Point2 8種制限以外の規定は、すべて業者間取引にも適用される。特に、書面の交付(媒介・重説・37条書面)について、「業者間では適用されない」といった出題がなされるので要注意。