- 民事執行法ー13.金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行(非金銭執行)
- 2.不動産の引渡し•明渡しの強制執行
- 不動産の引渡し•明渡しの強制執行
- Sec.1
1不動産の引渡し•明渡しの強制執行
■不動産の引渡し•明渡しの強制執行
(1) 執行方法
不動産等(不動産又は人の居住する船舶等をいう)の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う(民執法168条1項)。引渡しとは、単に占有を移転することであり、明渡しとは、居住者を退去させたり置かれている動産を取り払って占有を移転することをいう。引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行うため、この強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる(民執法168条3項)。
(2) 引渡し・明渡執行の相手方
この執行は、債務者の不動産等に対する占有を解く方法によってなされるため、債務者以外の者が占有しているときは執行できないのが原則である。しかし、債務者の家族や同居者については、債務者に対する引渡しの債務名義に基づいて執行することができる。これに対して、賃借人など独立の権原に基づく占有者に対しては、これらの者に対する債務名義が別途必要である。