- 民事執行法ー7.強制執行の開始と停止・取消し
- 4.強制執行開始後の債務者の死亡
- 強制執行開始後の債務者の死亡
- Sec.1
1強制執行開始後の債務者の死亡
■強制執行開始後の債務者の死亡
(1) 債務者の死亡
債務者が死亡した場合、その相続人対して強制執行をするためには、相続人に対する承継執行文を得て強制執行をするのが原則である(民執法27条2項)。例えばAがBに対して貸金返還請求訴訟を提起し勝訴した後、強制執行する前に被告Bが死亡した場合、AはBの相続人に対する承継執行文の付与を受けることによって、当該判決を債務名義としてそのまま強制執行をすることができる。Bの相続人に対して改めて裁判をして新しい債務名義を得る必要はない。
一方、強制執行開始後に債務者が死亡した場合には、承継執行文を要さず、そのまま強制執行を続行することができる(民執法41条1項)。
(2) 債権者の死亡
強制執行の開始後に申立債権者に承継があった場合において、承継人が自己のために強制執行の続行を求めるときは、承継執行文の付された債務名義の正本を提出しなければならない(民執規22条1項)。この正本が提出されたときは、裁判所書記官又は執行官は、債務者に対し、その旨を通知しなければならない(同条2項)。