• 宅建業法ー7.重要事項説明
  • 2.重要事項の説明内容
  • 重要事項の説明内容
  • Sec.1

1重要事項の説明内容

堀川 寿和2021/11/22 16:10

 宅建業者は、取引の相手方等に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、取引士をして、少なくとも次の■1~■4の事項について、これらの事項を記載した書面(■1(5)について図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない(取引の相手方等が宅建業者の場合は書面の交付のみでよい)。

 なお、説明すべき事項(書面に記載すべき事項)は、契約内容の別(契約の目的物が宅地であるか建物であるかの別、あるいは契約が売買・交換の契約であるか貸借の契約であるかの別)により異なる。


対象となる宅地又は建物に直接関係する事項

(1) 登記記録に記録された事項

当該宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあっては、その名称)


Point1 「登記された権利」とは、所有権、地上権、質権、抵当権、賃借権等で登記されたものをいう。


Point2 登記された抵当権について、引渡しまでに抹消される場合であっても、説明(記載)を省略することはできない


(2) 都市計画法、建築基準法等の法令に基づく制限の概要

都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別に応じて政令で定めるものに関する事項の概要


Point1 法令上の制限があれば、原則として、その制限の概要を説明(記載)しなければならないと考えておけばよい。ただし、建物の貸借の契約については、建物の借主に、そもそも規制されているような行為をする権限がないことが多いため、説明(記載)を要する事項が、「新住宅市街地開発法」、「新都市基盤整備法」及び「流通業務市街地の整備に関する法律」の規定に基づく制限のみである。したがって、建築基準法に規定する建蔽率及び容積率に関する制限があるときであっても、建物の貸借の契約の場合は説明する必要はない。建物の借主には、建物を増改築する権限がないからである。


Point2 宅地の貸借の契約の場合、文化財保護法の規定による重要文化財の譲渡に関する制限について、その概要を説明する必要はない。宅地の借主には宅地を譲渡する権限がないからである。


(3) 私道に関する負担に関する事項

当該契約が建物の貸借の契約以外のものであるときは、私道に関する負担に関する事項


Point 建物の貸借の契約の場合は、「私道に関する負担」について、説明する必要はない




(4) 飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の整備状況

飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)

 なお、ガス配管設備等に関して、住宅の売買後においても宅地内のガスの配管設備等の所有権が家庭用プロパンガス販売業者にあるものとする場合には、その旨を説明しなければならない。


(5) 宅地造成又は建物建築の工事完了時における形状、構造等(未完成物件のとき)

当該宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令・内閣府令で定める事項

国土交通省令・内閣府令で定める事項は、次のとおり。

宅地の場合宅地の造成の工事の完了時における当該宅地に接する道路の構造及び幅員
建物の場合建築の工事の完了時における当該建物の主要構造部、内装及び外装の構造又は仕上げ並びに設備の設置及び構造


Point 宅地又は建物の「工事完了時における形状、構造等」については、必要に応じ当該宅地又は建物に係る図面を交付した上で説明しなければならない。


(6) 建物状況調査の実施の有無及び実施している場合におけるその結果の概要(既存の建物のとき)

当該建物が既存の建物であるときは、建物状況調査(実施後1年を経過していないものに限る。)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要

 本説明義務については、売主等に建物状況調査の実施の有無を照会し、必要に応じて管理組合及び管理業者にも問い合わせた上、実施の有無が判明しない場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになる。

 実施後1年を経過していない建物状況調査が複数ある場合は、直近に実施された建物状況調査が重要事項説明の対象となる。


Point1 既存の建物の「建物状況調査の実施の有無及び実施している場合におけるその結果の概要」については、建物の売買・交換の契約の場合だけでなく、建物の貸借の契約の場合も説明しなければならない


Point2 建物状況調査を実施していても、実施後1年を経過している場合は、その結果の概要を説明する必要はない


(7) 建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存の状況(既存の建物のとき)

当該建物が既存の建物であるときは、設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況

 国土交通省令で定める書類は、売買又は交換の契約に係る住宅に関する書類で次に掲げるものである。


1確認の申請書及び添付図書並びに確認済証(新築時のもの)
2検査済証(新築時のもの)
3確認の申請書及び添付図書並びに確認済証(増改築等を行った物件である場合、増改築等のときのもの)
4検査済証(増改築等を行った物件である場合、増改築等のときのもの)
5建物状況調査報告書(建物状況調査を実施した住宅である場合)
6既存住宅に係る建設住宅性能評価書(既存住宅性能評価を受けた住宅である場合)
7定期調査報告書(建築基準法第12条の規定による定期調査報告の対象である場合)
8新耐震基準等に適合していることを証する書類(昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手した住宅である場合)

 なお、書類の保存の状況に関する説明は、原則として、当該書類の有無を説明するものであり、当該書類に記載されている内容の説明まで宅建業者に義務付けるものではない


Point1 既存の建物の「設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存の状況」を重要事項として説明しなければならないのは、建物の売買・交換の契約の場合に限られる。建物の貸借の契約の場合は、説明(記載)する必要はない


Point2 書類がなくなっている場合は、その旨を説明(記載)すればよい。


(8) 当該宅地建物が造成宅地防災区域内か否か

当該宅地又は建物が宅地造成等規制法により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨


(9) 当該宅地建物が土砂災害警戒区域内か否か

当該宅地又は建物が土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律により指定された土砂災害警戒区域内にあるときは、その旨


(10) 当該宅地建物が津波災害警戒区域内か否か

当該宅地又は建物が津波防災地域づくりに関する法律により指定された津波災害警戒区域内にあるときは、その旨


Point 当該宅地建物が「造成宅地防災区域内」、「土砂災害警戒区域内」及び「津波災害警戒区域内」にあるか否かは、建物の貸借の契約の場合であっても、説明(記載)が必要である。


(11) 水防法に基づく水害ハザードマップにおける当該宅地建物の所在地

水防法施行規則の規定により当該宅地又は建物が所在する市町村の長が提供する図面〔=水害ハザードマップ〕に当該宅地又は建物の位置が表示されているときは、当該図面における当該宅地又は建物の所在地

 本説明義務は、取引の対象である宅地又は建物が水防法に基づき作成された水害ハザードマップ上のどこに所在するかについて説明するものであり、取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを、洪水・内水・高潮のそれぞれについて提示し、当該宅地又は建物の概ねの位置を示すことにより行う。

 本説明義務における水害ハザードマップは、取引の対象となる宅地又は建物が存する市町村(特別区を含む。)が配布する印刷物又は当該市町村のホームページ等に掲載されたものを印刷したものであって、当該市町村のホームページ等を確認し入手可能な最新のものを用いなければならない。

 当該市町村に照会し、当該市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップの全部又は一部を作成せず、又は印刷物の配布若しくはホームページ等への掲載等をしていないことが確認された場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになる。この場合は、提示すべき水害ハザードマップが存しない旨の説明を行う必要がある。なお、本説明義務については、水害ハザードマップに記載されている内容の説明まで宅建業者に義務付けるものではない。


(12) 石綿使用調査の内容

当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容

 石綿の使用の有無の調査結果の記録が保存されているときは、「その内容」として、調査の実施機関、調査の範囲、調査年月日、石綿の使用の有無及び石綿の使用の箇所を説明する。

 本説明義務については、売主及び所有者に当該調査の記録の有無を照会し、必要に応じて管理組合、管理業者及び施工会社にも問い合わせた上、存在しないことが確認された場合又はその存在が判明しない場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになる。なお、本説明義務については、石綿の使用の有無の調査の実施自体宅建業者に義務付けるものではない


Point1 当該建物について石綿が使用されていない旨の調査結果が記録されているときは、その旨を説明(記載)しなければならない。説明(記載)を省略できるわけではない。


Point2 石綿使用の有無の調査結果の記録がないときは、ない旨を説明すればよい。


(13) 耐震診断の内容

当該建物(昭和56年6月1日以降に新築の工事に着手したものを除く。)が建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づいて指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関又は地方公共団体が行う耐震診断を受けたものであるときは、その内容

 本説明義務については、売主及び所有者に当該耐震診断の記録の有無を照会し、必要に応じて管理組合及び管理業者にも問い合わせた上、存在しないことが確認された場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになる。

 なお、本説明義務については、耐震診断の実施自体を宅建業者に義務付けるものではない


Point1 昭和56年6月1日以降に新築の工事に着手した建物については、耐震診断を受けたものであっても、その内容を説明(記載)する必要はない。


Point2 宅建業者が自ら売主となる場合であっても、耐震診断を受けていない場合に、耐震診断を受ける義務はない。


(14) 住宅性能評価を受けた新築住宅である場合

建物の売買又は交換の契約にあっては、当該建物が住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する住宅性能評価を受けた新築住宅であるときは、その旨

 本説明義務は、住宅の品質確保の促進等に関する法律の住宅性能評価制度を利用した新築住宅であるか否かについて説明するものであり、当該評価の具体的内容の説明義務まで負うものではない


Point 「住宅性能評価を受けた新築住宅であるときは、その旨」を重要事項として説明(記載)しなければならないのは、建物の売買・交換の場合に限られる。




対象となる宅地又は建物に直接関係する事項売買・交換貸借
宅地建物宅地建物
(1)登記記録に記録された事項
(2)都市計画法、建築基準法等の法令に基づく制限の概要
(3)私道に関する負担に関する事項
(4)飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の整備状況
(5)宅地造成又は建物建築の工事完了時における形状、構造等(未完成物件のとき)
(6)建物状況調査の実施の有無及び実施している場合におけるその結果の概要(既存の建物のとき)
(7)建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存の状況(既存の建物のとき)
(8)当該宅地建物が造成宅地防災区域内か否か
(9)当該宅地建物が土砂災害警戒区域内か否か
(10)当該宅地建物が津波災害警戒区域内か否か
(11)水防法に基づく水害ハザードマップにおける当該宅地建物の所在地
(12)石綿使用調査の内容
(13)耐震診断の内容
(14)住宅性能評価を受けた新築住宅である場合


取引条件に関する事項

(1) 代金、交換差金及び借賃以外に授受される金額

代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の及び当該金銭の授受の目的

 手付金・敷金・保証金・権利金・礼金などについての説明である。


Point1 「代金、交換差金又は借賃の額」は、重要事項ではないので、説明(記載)する必要はない


Point2 説明(記載)事項であるのは金銭の「」と「授受の目的」である。金銭の保管方法は説明(記載)事項ではない。


(2) 契約の解除に関する事項

契約の解除に関する事項


(3) 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項

損害賠償額の予定又は違約金に関する事項


Point 「損害賠償額の予定又は違約金に関する事項」については、宅地・建物の売買・交換・貸借すべての場合において、説明(記載)する必要がある。


(4) 手付金等の保全措置の概要(業者が自ら売主の場合)

宅地又は建物の売買で宅建業者が自ら売主として宅建業者でない買主から手付金等を受領しようとする場合における宅建業法の規定による手付金等の保全措置の概要


(5) 支払金又は預り金の保全措置の概要

支払金又は預り金を受領しようとする場合において、宅建業法の規定による保証の措置その他国土交通省令・内閣府令で定める保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要

 「支払金又は預り金」とは、代金、交換差金、借賃、権利金、敷金その他いかなる名義をもって授受されるかを問わず、宅建業者の相手方等から宅建業者がその取引の対象となる宅地又は建物に関し受領する金銭をいう。

 ただし、次の①~④に該当する金銭は、「支払金又は預り金」に含まれないため、これらを受領する場合であっても、「支払金又は預り金の保全措置」について説明(記載)する必要はない。

① 受領する額が50万円未満のもの
② 宅建業法の規定により、保全措置が講ぜられている手付金等
③ 売主又は交換の当事者である宅建業者が登記以後に受領するもの
④ 報酬

 なお、支払金・預り金につき保全措置を講ずるかどうかは宅建業者の任意である。


(6) 金銭の貸借のあっせん

代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあっせんの内容及び当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置

 「あっせんの内容」としては、融資額や返済方法等を説明(記載)しなければならない。また、「あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置」としては、金融機関の融資が認められないときは売主又は買主は売買契約を解除することができる旨、及び解除権の行使が認められる期限を設定する場合にはその旨を説明する。


(7) 担保責任の履行に関する措置の概要

当該宅地又は建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令・内閣府令で定めるものを講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要

 国土交通省令・内閣府令で定める措置は、次の①~④のいずれかに該当するものである。

① 当該宅地又は建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関する保証保険契約又は責任保険契約の締結
② 当該宅地又は建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関する保証保険又は責任保険を付保することを委託する契約の締結
③ 当該宅地又は建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関する債務について銀行等が連帯して保証することを委託する契約の締結
④ 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に規定する住宅販売瑕疵担保保証金の供託

 なお、宅建業者が自ら売主となって新築住宅を売買する場合は、住宅瑕疵担保履行法により、担保責任の履行に関する措置を講じることが義務づけられている。それに対して、それ以外の場合(既存住宅の売買など)は、担保責任の履行に関する措置を講ずるかどうかは宅建業者の任意である。


Point 「担保責任の履行に関する措置」を講じる場合は、その措置の概要も説明(記載)する必要がある。また、講じない場合は、講じない旨の説明(記載)を行わなければならず、説明を省略することはできない。


(8) 割賦販売に係る事項

 割賦販売とは、代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後1年以上の期間にわたり、かつ、2回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。

 宅地又は建物の割賦販売の契約においては、次の事項が重要事項として追加されることになる。

① 現金販売価格(宅地又は建物の引渡しまでにその代金の全額を受領する場合の価格をいう。)
② 割賦販売価格(割賦販売の方法により販売する場合の価格をいう。)
③ 宅地又は建物の引渡しまでに支払う金銭の額及び賦払金の額並びにその支払の時期及び方法




取引条件に関する事項売買・交換貸借
宅地建物宅地建物
(1)代金、交換差金及び借賃以外に授受される金額
(2)契約の解除に関する事項
(3)損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
(4)手付金等の保全措置の概要(業者が自ら売主の場合)
(5)支払金又は預り金の保全措置の概要
(6)金銭の貸借のあっせん
(7)担保責任の履行に関する措置の概要
(8)割賦販売に係る事項(割賦販売の場合)


Point 宅地又は建物の「引渡し時期」・「移転登記の申請の時期」や、「天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容」は、重要事項として説明(記載)をする必要はない。



区分所有建物である場合に加わる説明事項

 上記の説明事項に加えて、区分所有建物の売買・交換の契約の場合は、次の(1)~(9)の事項を、貸借の契約の場合は、次の(3)及び(8)の事項を説明しなければならない。


(1) 敷地に関する権利の種類及び内容

当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容

 「権利の種類」に関しては、所有権、地上権、賃借権等に区別して記載しなければならない。


Point マンションの建物が定期借地権の設定された土地の上に存するときは、当該定期借地権が登記されたものであるか否かにかかわらず、当該定期借地権の内容について説明しなければならない。


(2) 共用部分に関する規約等の定め

区分所有法に規定する共用部分に関する規約の定め(その案を含む。)があるときは、その内容

 「共用部分に関する規約の定め」には、いわゆる規約共用部分に関する規約の定めのほか、いわゆる法定共用部分であっても規約で確認的に共用部分とする旨の定めがあるときにはその旨を含む。


(3) 専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約等の定め

区分所有法に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め(その案を含む。)があるときは、その内容

 「専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め」には、例えば、居住用に限り事業用としての利用の禁止、フローリングへの貼替工事、ペット飼育、ピアノ使用等の禁止又は制限に関する規約上の定めが該当する。


Point 「専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め」については、区分所有建物の貸借の契約の場合にも、重要事項として説明(記載)しなければならない


(4) 専用使用権に関する規約等の定め

当該一棟の建物又はその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約(これに類するものを含む。)の定め(その案を含む。)があるときは、その内容

 いわゆる専用使用権に関する説明である。専用使用権は、通常、専用庭、バルコニー等に設定されるものであるが、これらについては、その項目を記載するとともに専用使用料を徴収している場合はその旨及びその帰属先を記載しなければならない。


Point マンションの建物又はその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約の定めがある場合、その内容を説明(記載)する必要はあるが、その使用者の氏名及び住所については説明(記載)する必要はない。


(5) 所有者が負担すべき費用を特定の者にのみ減免する旨の規約等の定め

当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用、通常の管理費用その他の当該建物の所有者が負担しなければならない費用を特定の者にのみ減免する旨の規約(これに類するものを含む。)の定め(その案を含む。)があるときは、その内容


Point マンションの建物の計画的な維持修繕のための費用、通常の管理費用などを特定の者にのみ減免する旨の規約の定めがある場合、買主が当該減免対象者であるか否かにかかわらず、その内容を説明(記載)しなければならない。


(6) 計画修繕積立金等に関する事項

当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約(これに類するものを含む。)の定め(その案を含む。)があるときは、その内容及び既に積み立てられている額

 いわゆる大規模修繕積立金、計画修繕積立金等の定めに関する説明である。

 当該区分所有建物に関し修繕積立金等についての滞納があるときその額を説明しなければならない。なお、ここでいう修繕積立金等については、当該一棟の建物に係る修繕積立金積立総額及び売買の対象となる専有部分に係る修繕積立金等を指す。 


(7) 通常の管理費用の額

当該建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額

 「通常の管理費用」とは、共用部分に係る共益費等に充当するため区分所有者が月々負担する経常的経費をいい、修繕積立金等に充当される経費は含まれない。

 管理費用についての滞納があるときその額を説明しなければならない。


(8) 管理の委託先

当該一棟の建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあっては、その商号又は名称)及び住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)


(9) 建物の維持修繕の実施状況の記録

当該一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容

 本説明義務は、維持修繕の実施状況の記録が保存されている場合に限って課されるものであり、管理組合、マンション管理業者又は売主に当該記録の有無を照会の上、存在しないことが確認された場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになる。 




区分所有建物である場合に加わる説明事項売買・交換貸借
宅地建物宅地建物
(1)敷地に関する権利の種類及び内容
(2)共用部分に関する規約等の定め
(3)専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約等の定め
(4)専用使用権に関する規約等の定め
(5)所有者が負担すべき費用を特定の者にのみ減免する旨の規約等の定め
(6)計画修繕積立金等に関する事項
(7)通常の管理費用の額
(8)管理の委託先
(9)建物の維持修繕の実施状況の記録


Point 「管理組合の総会の議決権に関する事項」は、重要事項として説明(記載)する必要はない。