- 民事執行法ー2.民事執行の主体
- 2.執行機関
- 執行機関
- Sec.1
■執行機関の二元性
(1) 二元性
民事執行法の執行実施機関は、執行裁判所と執行官である。
(2) 職分管轄
執行裁判所と執行官との職務分担を職分管轄という。
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執行の種類 |
換価方法 |
執行裁判所が執行機関と なる強制執行 |
不動産執行 |
強制競売・強制管理・競売 担保不動産収益執行 |
船舶執行 |
強制競売・競売 |
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債権執行 |
取立て・転付命令・譲渡命令等 |
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作為又は不作為を目的とする債権の執行 |
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執行官が執行機関と なる強制執行 |
動産執行 |
売却・競売 |
動産・不動産の引渡し・明渡しの執行 |
執行官が執行機関となるのは、主に実力行使を伴う行動を必要とする不動産や動産も明渡し・引渡執行や、複雑な手続を要しない動産執行などである。裁判所が執行機関となる場合でも事実行為を必要とする部分は執行官が裁判所の補助機関としてこれを実施するし、執行官が行う執行処分に対して裁判所がこれに協力・監督するなど、両者は協力関係に立つ。
■執行裁判所
(1) 意義
執行裁判所とは、民事執行に関して執行処分を行い、また執行官の行う執行処分に関する執行異議の処理や執行官の職務に協力・監督すべき裁判所をいう(民執法3条)。原則として地方裁判所であり、単独裁判官により構成される。
(2) 審理及び裁判の手続
① 任意的口頭弁論
執行裁判所が民事執行手続に関してする裁判は口頭弁論を経ないですることができる(民執法4条)。したがって裁判の形式は決定である(民訴法87条1項ただし書)。判決手続と異なり、既に確定された権利関係の実現手続にすぎず、また迅速性が要求されるからである。もっとも、後述する第三者異議の訴えや配当異議の訴えのように、必要的口頭弁論に基づき判決でなされるものもある。これらは、訴えに対する裁判であって、民事執行手続に関する裁判ではないからである。
② 審尋
執行裁判所は執行処分をするに際し、必要があると認めるときは、当事者のみならず、利害関係人、その他参考人を審尋することができる(民執法5条)。審尋とは呼び出して、その者の主張を聞くことである。