- 宅建業法ー6.媒介・代理契約に関する規制
- 2.媒介契約書の記載事項
- 媒介契約書の記載事項
- Sec.1
1媒介契約書の記載事項
■媒介契約書の記載事項
媒介契約書面には、以下の事項を記載しなければならない。
① 宅地建物を特定するために必要な表示
② 売買すべき価格または評価額 ※価格について業者が意見を述べる場合は、必ずその根拠を示さなければならない。 ③ 媒介契約の種類 ④ 既存建物の媒介契約であるときは、依頼者に対する建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項 ⑤ 媒介契約の有効期間及び解除に関する事項 ⑥ 指定流通機構への登録に関する事項 ⑦ 報酬に関する事項 ⑧ 媒介契約違反の場合の措置 ⑨ 国土交通大臣が定めた標準媒介契約約款に基づくか否か |
④の『建物状況調査』とは、建物の構造耐力上主要な部分または雨水の侵入を防止する部分の状況調査で、経年変化等の建物に生じる事象に関する知識・能力を有する一定の者が実施するものである。
⑨の『約款』とは、反復継続して行われる契約内容を、あらかじめ雛形として定めてあるものをいうが、その雛形に従うか否かを決めておくというものである。
価格についての意見を述べる場合の根拠は口頭で述べてもよい。また、依頼主の希望価格より高くいう場合にも根拠が必要である。根拠は、同じような物件の取引事例でもよいし、不動産鑑定士の鑑定等でもよい。
■チェック問 媒介契約 問題
【チェック問 媒介契約 問題】
1. 宅建業者Aは、Bとの間で締結した宅地の売買の媒介契約が一般媒介契約であるか、専任媒介契約であるかにかかわらず、宅地を売買すべき価額をBに口頭で述べたとしても、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に当該価額を記載しなければならない。
2. 宅建業者Aが依頼者と専任媒介契約を締結したときは、Aは法第34条の2に規定する契約内容を記載した書面を依頼者に交付しなければならないが、一般媒介契約を締結したときは、当該書面の交付をしなくてもよい。
3. 宅建業者Aが、Bから自己所有の宅地の売却の媒介を依頼され、Aが、Bとの間に一般媒介契約を締結したときは、当該宅地に関する所定の事項を必ずしも指定流通機構へ登録しなくてもよいため、当該媒介契約の内容を記載した書面に、指定流通機構への登録に関する事項を記載する必要はない。
4. 宅建業者Aは、オフィスビルの所有者Bから賃貸借の媒介を依頼されたが、過去数次にわたってBの物件について賃貸借の媒介をしていたことから、当該依頼に係る媒介契約を締結したとき、Bに対し、書面の作成及び交付をしなくても、宅建業法に違反しない。
5. 宅建業者Aは、Bとの間で宅地の売却について媒介契約を締結し、Bに対して当該宅地を売却すべき価額又はその評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
6. 宅建業者AとBとの間の媒介契約が専任媒介契約である場合、その有効期間の満了に際して、Bからの更新の申出がなくても、その有効期間を自動的に更新するためには、当該契約の締結時にあらかじめBの承諾を得ておかなければならない。
7. 宅建業者AとBとの間で専属専任媒介契約を締結した場合、Bは、Aが探索した相手方以外の者と売買契約を締結することができない。
8. 宅建業者Aが依頼者Bとの間で専属専任媒介契約を締結した場合、AはBに対し、当該契約の業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければならない。
9. 宅建業者Aが、B所有の甲宅地の売却の媒介を依頼され、Bと専任媒介契約を締結した場合、AがBに対して、業務の処理状況を14日(ただし、Aの休業日は含まない。)に1回報告するという特約は有効である。
10. 宅建業者AとBとの間で専属専任媒介契約を締結した場合、Aが探索した相手方以外の者とBとの間で売買契約を締結したときの措置について、AとBとの間で取り決めがなければ、Aは法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載する必要はない。
11. 宅建業者Aが、B所有の宅地の売却の媒介依頼を受け、Bと専任媒介契約を締結した場合、AがBに交付した媒介契約書が国土交通大臣が定めた標準媒介契約約款に基づかない書面であるときは、その旨の表示をしなければ、Aは業務停止処分を受けることがある。
12. 宅建業者Aが、BからB所有の土地付建物の売却の媒介を依頼され、専任媒介契約を締結した場合、Aは契約の相手方を探すため、当該物件につき必要な事項を、媒介契約締結の日から休業日数を除き7日以内(専属専任媒介契約の場合は5日以内)に指定流通機構に登録しなければならない。
13. 宅建業者A社が、Bから自己所有の宅地の売買の媒介を依頼された場合において、A社は、Bとの間で専任媒介契約を締結し、所定の事項を指定流通機構に登録したときは、その登録を証する書面を遅滞なくBに引き渡さなければならない。
■チェック問 媒介契約 正解
【チェック問 媒介契約 正解】
1-○ | 2-× | 3-× | 4-○ | 5-○ | 6-× | 7-○ |
8-× | 9-× | 10-× | 11-○ | 12-○ | 13-○ |
【チェック問 媒介契約 解説】
1. ○媒介契約書には、依頼に係る宅地・建物を売買すべき価額又はその評価額を記載しなければならない。これは、一般媒介でも専任媒介でも同様であり、口頭で述べても記載を省略することはできない。
2. ×宅建業者は、宅地建物の売買又は交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、媒介契約書面を依頼者に交付しなければならない。これは、一般媒介契約でも同様である。
3. ×宅地建物の売買・交換の媒介契約書面には、指定流通機構への登録に関する事項を記載しなければならず、これは一般媒介契約であっても同様である。
4. ○媒介契約に関する宅建業法の規定は、貸借の媒介・代理の場合は適用されないため、媒介契約書面の作成・交付をする必要もない。
5. ○宅建業者が、媒介の対象となる物件の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
6. ×専任媒介契約及び専属専任媒介契約は、依頼者からの申出がなければ更新できず、申出があれば3 ヵ月を超えない範囲で更新することができる。あらかじめ依頼者の承諾を得たからといって、自動更新をすることはできない。
7. ○専属専任媒介契約を締結した場合、依頼者は、その宅建業者が探索した相手方以外の者と売買、又は交換の契約を締結することができない。
8. ×専属専任媒介契約を締結した宅建業者は、依頼者に対して1週間に1回以上、業務の処理状況を報告しなければならない。
9. ×専任媒介契約を締結した宅建業者は、業務の処理状況を、休業日も含み、2週間に1回以上依頼者に対し報告しなければならず、この規定に反する特約は無効である。
10. ×建物の売却について専属専任媒介契約を締結した宅建業者は、媒介契約書に、依頼者が、依頼を受けた宅建業者が探索した相手方以外の者と契約を締結したときの措置を記載しなければならない。
11. ○宅建業者は、媒介契約書面に、標準媒介契約約款に基づくか否かの別を記載しなければならず、これに違反すれば、業務停止処分を受けることがある。
12. ○専任媒介契約の場合、媒介契約締結の日から休業日数を除き7日以内(専属専任媒介契約の場合は5日以内)に、当該土地に関する必要な事項を指定流通機構に登録しなければならない。
13. ○指定流通機構に登録をした宅建業者は、その登録を証する書面を、遅滞なく依頼者に引き渡さなければならない。