- 民事訴訟法ー18.終局判決に付随する裁判
- 2.訴訟費用
- 訴訟費用
- Sec.1
1訴訟費用
■訴訟費用
(1) 訴訟費用の意義
訴訟費用とは、訴訟につき当事者及び裁判所が支出した費用のうち、民事訴訟費用等に関する法律が定めた範囲のものをいう。
(2) 訴訟費用の範囲
民事訴訟費用等に関する法律により定められる。次の2つに区別できる。
① 裁判費用
裁判所の行為に必要な費用である。具体的には、申立費用、送達、証拠調べ費用などがこれにあたる。
② 当事者費用
当事者の行為(訴訟追行)に必要な費用である。 例えば、訴状その他の書類作成費用、出頭費用、宿泊料、日当などがこれにあたる。
③ 弁護士費用
本人訴訟が建前であることから、弁護士報酬は当事者費用に含まれないのが原則である。
ただし、裁判所が付添いを命じた場合(民訴155条2項)には、その弁護士費用は訴訟費用に含まれる。
(3) 費用負担者
① 原則(敗訴者負担の原則)
訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする(民訴法61条)のが原則である。しかし、勝訴者も例外的に負担させられることがある(民訴法62条、63条参照)
② 一部敗訴の場合
双方が負担することになるが、その割合は裁判所が裁量で定める。ただし、事情により一方の当事者に全部負担させることができる(民訴法64条)。
③ 和解の場合
当事者が裁判所において和解をした場合において、和解の費用又は訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する(民訴法68条)。
(4) 訴訟費用の裁判
① 訴訟費用の負担の裁判
裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における訴訟費用の全部について、その負担の裁判をしなければならない。ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる(民訴法67条1項)。
② 訴訟費用負担額の確定手続
上記①の具体的な負担の額は、その負担の裁判が執行力を生じた後に、申立てにより、第1審裁判所の裁判所書記官が定める(民訴法71条1項)。和解の場合に負担を定め、その額を定めなかったときも同様である(民訴法72条)。
(5) 訴訟上の救助
訴訟をするには訴訟費用を予納しなければならないが、支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者には、裁判を受ける権利が実質的に保障されないおそれがある。そこで、費用を支払う資力がない当事者で、勝訴の見込みがないといえないとき(82条1項)に、裁判所は申立てによって、救助の決定をし、これを受けると、裁判費用等の支払いが猶予され、訴訟費用の担保を供する義務を免れる(民訴法83条1項)。しかし、訴訟上の救助の決定を受けた者が82条1項に規定する要件を欠くことが判明し、又はこれを欠くに至ったときは、訴訟記録の存する裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、決定により、いつでも訴訟上の救助の決定を取り消し、猶予した費用の支払を命ずることができる(民訴法84条)。