- 民事訴訟法ー17.確定判決の効力
- 1.既判力
- 既判力
- Sec.1
1既判力
■既判力の意義
(1) 意義
既判力とは、確定した終局判決における請求についての判断について、後に同一事項が問題となったときには、当事者はこれに反する主張をしてその判断を争うことが許されず、裁判所もこれに矛盾する判断をすることが許されなくなる、確定判決の判断に与えられる拘束力をいう。
(2) 趣旨
既判力の趣旨は、同一紛争の蒸し返しの防止にある。判決が確定した以上、当事者も裁判所も、その確定判断に拘束され、これに反する主張や判断を許さないとしなければ紛争の終局的解決がはかれないからである。
■既判力の作用と内容
(1) 既判力の作用
既判力は、前訴で確定した権利関係が後訴で再び問題とされたときに作用する。
(2) 既判力の内容
① 対当事者
当事者は既判力の生じている判断に反する申立てや主張を後訴ですることは許されない。
② 対裁判所
後訴裁判所も既判力の生じている判断を前提として後訴の判決をしなければならない。
(3) 後訴の処理
① 前訴で勝訴した原告が再び同一の訴えを提起した場合
訴えの利益なしとして、訴えを却下しなければならない。
ただし、この場合でも、時効中断〔注:現在の「時効完成猶予」〕のため他に適当な方法がない場合(大S6.11.24)や判決原本が滅失したため執行正本が得られない等重ねて判決を得る必要があるとき訴えは例外的に適法となり、再度の勝訴判決が下される。
② 前訴で敗訴した原告が再び同一の訴えを提起した場合
(イ)基準時後の新たな事由の主張がない場合
前訴の事実審口頭弁論終結後に生じた新たな事由の主張がなければ、前訴判決の既判力ある判断に従って請求棄却判決をすることになる。
(ロ)基準時後の新たな事由の主張がある場合
基準時後の新たな事由の存否を審理し、権利変動を生じさせる新事由があれば請求認容判決をし、なければ請求棄却判決をすることになる。