- 民事訴訟法ー9.口頭弁論の実施
- 4.口頭弁論調書と訴訟記録
- 口頭弁論調書と訴訟記録
- Sec.1
1口頭弁論調書と訴訟記録
■口頭弁論調書
(1) 口頭弁論調書の意義
裁判所書記官は、口頭弁論について、期日ごとに調書を作成しなければならない(民訴法160条1項)。
(2) 調書の証明力
口頭弁論の方式に関する形式的記載事項は、調書によってのみ証明しうる(民訴法160条3項)。
すなわち、形式的記載事項(弁論の公開、当事者の出頭、不出頭等)については、調書にその事実の記載があれば、その事実はあったと認められ、記載がなければその事実はなかったものと認められる。手続をめぐって紛争が派生し、本来の審理を遅滞紛糾させないようにするためである。
■訴訟記録の閲覧・謄写
(1) 訴訟記録の意義
特定の事件につき、当事者や関係人が提出した訴状、答弁書、準備書面、証拠申出書、訴訟委任状や裁判所が作成した口頭弁論調書、判決書、証拠調べ調書書類などを訴訟記録という。訴訟記録は裁判所法60条2項によって簿冊に綴り込まれ、裁判所書記官が保管することとされている。
(2) 訴訟記録の閲覧・謄写請求権
何人も、裁判所書記官に対し、訴訟記録の閲覧を請求することができる(民訴法91条1項)。公開を禁止した口頭弁論に係る訴訟記録については当事者及び利害関係を疎明した第三者に限られる(同条2項)。
当事者、利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、訴訟記録の謄写、その正本、謄本もしくは抄本の交付、訴訟に関する事項の証明書の交付を請求することができ、また、録音テープ、ビデオテープについては複製が許される(同条3項4項)。ただ、いずれの場合も、訴訟記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときはすることができない(同条5項)。
(3) 秘密保護のための閲覧等の制限
訴訟記録中に、プライバシーについての重大な秘密や、不正競争防止法に規定する営業秘密が記載(記録)されているときは、当事者の申立てにより閲覧・謄写請求権者を当事者に限ることができる(民訴法92条1項)。