- 民事訴訟法ー9.口頭弁論の実施
- 3.弁論期日における当事者の欠席
- 弁論期日における当事者の欠席
- Sec.1
1弁論期日における当事者の欠席
■当事者の一方の欠席
(1) 最初の期日
① 欠席当事者の陳述擬制
原告、被告を問わず、欠席当事者は訴状、答弁書、準備書面を提出しておけば、その記載事項を陳述したものとみなされる(民訴法158条 陳述擬制)。この陳述擬制は控訴審において最初になすべき口頭弁論期日に当事者の一方が欠席した場合にも認められるし、また弁論準備手続においても認められる(民訴法170条5項、158条)。なお、陳述擬制が認められるのは、当事者の一方が最初にすべき口頭弁論期日に欠席した場合に限られ、当事者双方が欠席した場合には認められない。
② 出席した当事者
出席当事者は弁論を行うが、この場合は準備書面に記載してある事項のみ主張することができるにとどまる(民訴法161条3項)。例えば、貸金返還請求訴訟において、原告が最初の口頭弁論期日に出頭しない場合、被告は既に提出した答弁書に記載していなかった貸金弁済の事実を主張することができないことになる。
判例 |
(大S12.3.20) |
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ここで言う最初にすべき口頭弁論の期日とは、最初に定められた期日という意味ではなく、実際に最初に行われる口頭弁論期日の意味である。 |
⇒ 従って第1回期日が延期又は変更されたときは、その後最初に開かれた期日をさす。
③ 擬制自白の成立
欠席当事者が相手方の主張に対して準備書面で争っていれば、争ったこととなり、審理は続行されその後の期日で証拠調べをすることになる。それに対して、欠席当事者が準備書面を提出せず、又は提出しても準備書面で争っていないときは擬制自白が成立することになる(民訴法159条3項 擬制自白の成立)。その結果、出席者はその事実を証明する必要がなくなり、裁判所は、裁判をするのに熟したと判断すれば弁論を終結して判決を下すことも可能であるし、弁論を続行する必要があると判断すれば、次回期日を指定することも可能である。
(2) 続行期日
続行期日では、欠席当事者が準備書面を提出していても陳述擬制は認められない。続行期日にまで陳述擬制を認めると口頭主義が骨抜きとなるからである。したがって欠席当事者が準備書面を提出してそこで争っていても、出席当事者が主張した事実については擬制自白が成立してしまうことになる。
つまり、続行期日における欠席は出席して沈黙しているのと同様の結果となる。ただし、簡易裁判所では続行期日において陳述擬制が認められる(民訴法277条)。
■当事者の双方の欠席
(1) 期日の終了
当事者双方が欠席した場合は、その期日に予定した弁論はできず、期日は終了する。つまり、最初の期日に当事者双方が欠席した場合、裁判所は原告の提出した訴状や被告の答弁書その他準備書面に記載した事項を陳述とみなすことはできない。
(2) 訴えの取下げ擬制
① 期日指定の申立てがない場合
当事者双方が口頭弁論もしくは弁論準備手続の期日に出席せず、又は弁論もしくは弁論準備手続における申述をしないで退廷もしくは退席をした場合において、1月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなされる(民訴法263条前段)。
② 連続して2回欠席した場合
当事者双方が連続して2回、口頭弁論もしくは弁論準備手続の期日に出席せず、又は弁論もしくは弁論準備手続における申述をしないで退廷もしくは退席をしたときも、訴えの取下げがあったものとみなされる(民訴法263条後段)。