• 民事訴訟法ー9.口頭弁論の実施
  • 2.当事者の訴訟行為
  • 当事者の訴訟行為
  • Sec.1

1当事者の訴訟行為

堀川 寿和2022/02/02 16:38

当事者の訴訟行為の意義

 口頭弁論における当事者の訴訟行為としては、裁判所に対する各種申立てと、その申立てを基礎づけるための主張及び証拠の申出が主たるものである。

 

申立て

 申立てとは、裁判所に対して一定の行為(本案、証拠調べ、送達等)を要求する当事者の訴訟行為をいう。申出とも呼ばれる。

主張

(1) 意義

 申立てを基礎づけるための事実の存否ないし権利関係の陳述を主張という。法律上の主張と事実上の主張とがあることは前述のとおりである。

 

(2) 予備的(仮定的)主張

 予備的主張とは、自己の申立てを理由づけるための第一次的主張が認められない場合に備えて、第二次の主張を同時に提出する訴訟行為をいう。例えば、原告が所有権の取得原因として、まず売買を主張し、それが認められない場合に備えて時効取得を主張する場合がこれにあたる。この場合、裁判所は当事者が主張する売買、取得時効のどちらを採用して原告を勝訴させてもよい。

 

(3) 予備的(仮定的)抗弁

 予備的抗弁とは、相手方の申立てを排斥するために提出する二次的な抗弁をいう。例えば、被告が、まず弁済を主張し、それが認められない場合に備えて消滅時効を主張する場合がこれにあたる。

この場合も、裁判所は弁済、消滅時効のどちらを採用して被告を勝訴させてもよい。

しかし、相殺の抗弁は、他の主張が認められない場合にはじめて取り上げるべきである。

したがって、被告がまず弁済を主張し、それが認められない場合に備えて相殺の抗弁を主張している場合、まず裁判所は弁済の有無を判断しなければならず、弁済がなされていないと判断して初めて相殺の抗弁の有無について判断しなければならないことになる。