- 民事訴訟法ー9.口頭弁論の実施
- 1.口頭弁論の実施
- 口頭弁論の実施
- Sec.1
1口頭弁論の実施
■本案の申立て
裁判長は口頭弁論期日を定め、当事者を呼び出して、口頭弁論が実施される。第1回口頭弁論期日に原告がまず、請求の趣旨を陳述する。被告は、原告の請求を全面的に認める請求の認諾をしない限り、訴え却下又は請求棄却の申立てを行うことになる。このように、当事者がいかなる終局判決を求めるかについての陳述を本案の申立てといい、これによりこれから進められる訴訟の主題が提示される。
■攻撃防御方法の提出
本案の申立てがなされると、続いてこれを基礎づける判断資料が提出される。これら攻擊防御方法という。相手方の主張に対する認否も、攻撃防御方法の1つである。
(1) 法律上の主張
申立てを基礎づける権利関係の主張を法律上の主張をいう。原告の所有権に基づく明渡請求訴訟における原告の所有権の主張、これに対する被告の賃借権の主張などがこれにあたる。
(2) 事実の主張
申立てを基礎づける具体的な事実の存否の主張をいう。原告の所有権取得の原因事実や被告の賃貸借契約締結の事実などがこれにあたる。
(3) 相手方の主張に対する認否
一方当事者の事実上の主張に対する相手方の対応には次の4つがある。
① 争う(否認)(*1) ② 知らない(不知) ⇒ この場合、民訴法159条2項によって争ったものと推定される。 ③ 認める(自白) ④ 答えない(沈黙) ⇒ 弁論の全趣旨からみて争っていると認められない限り自白とみなされる。 |
①、②の場合には、その後の証拠調べによって事実認定していくことになるが、③④の場合は相手方の主張を認めたことになり、その事実についての証拠調べは不要となる。
(*1)否認と抗弁
請求原因に対する被告の争い方としては、否認と抗弁とがある。否認と抗弁とは、両者とも相手方の主張を斥けるための事実上の主張であるという点で共通する。
否認 ⇒ 否認とは、相手方が証明責任を負う事実を否定し、それによってその事実の証拠調べを必要ならしめる訴訟行為のことをさす。
抗弁 ⇒ 抗弁とは、自己が証明責任を有する攻撃防御方法のことであり、相手の請求を排斥するため、相手方の権利主張・事実主張を単に否認するのみならず、自ら別個の事実を主張する攻撃防御方法をさす。
(4) 立証(証拠の申出)
事実上の主張を証明するための行為又は活動を立証という。事実上の主張を相手方が争うときは、証拠によりその事実の存在を証明しなければならない。証拠調べは、弁論主義により当事者の証拠の申出により行うことになる。