- 民事訴訟法ー8.口頭弁論の準備
- 6.訴え提起前における証拠収集の処分
- 訴え提起前における証拠収集の処分
- Sec.1
1訴え提起前における証拠収集の処分
■意義
裁判所は、予告通知者又は予告通知に返答をした被予告通知者の申立てにより、当該予告通知に係る訴えが提起された場合の立証に必要であることが明らかな証拠となるべきものについて、申立人がこれを自ら収集することが困難であると認められるときは、予告通知又は返答の相手方の意見を聴いて、訴えの提起前に証拠収集のための次の処分をすることができる。ただし、その収集に要すべき時間又は嘱託を受けるべき者の負担が不相当なものとなること、その他の事情により相当でないと認めるときはこの限りでない(民訴法132の4第1項)。これによって当事者は訴え提起前の証拠の収集も可能となった。
① 文書の送付嘱託 送付嘱託される文書の具体例としては官公署の保管文書、医療過誤訴訟のカルテ、看護士記録などが考えられる。 ② 官公署等への調査の嘱託 ③ 専門家の意見陳述 ④ 執行官の現況調査 |
訴え提起前の証拠収集処分においては、裁判所は文書の所持者に対して文書の提出を求めることはできない。訴え提起前の証拠収集処分は民訴法132条の4第1項に定める1号の文書送付嘱託、2号の調査嘱託、3号の専門家による意見陳述の嘱託、4号の執行官による現況調査に限られる。
■申立期間
この処分の申立ては、予告通知がされた日から4月の不変期間内にしなければならない。ただし、その期間経過後にその申立てをすることについて相手方の同意があるときは、この限りでない(民訴法132条の4第2項)。この申立ては書面でしなければならない。