• 民事訴訟法ー6.審理と審理の諸原則
  • 4.職権進行主義
  • 職権進行主義
  • Sec.1

1職権進行主義

堀川 寿和2022/02/02 15:41

職権進行主義の意義

 職権進行主義とは、訴訟手続の進行についての指揮権を裁判所に与える建前をいう。具体的には、期日の指定や変更についての場面で職権進行主義が採用されている。

 

期日

(1) 期日の意義

 期日とは、裁判所及び当事者等が所定の場所に集まり、訴訟行為をするために定められた日をさす。

 具体的には、「口頭弁論期日」「証拠調べ期日」「弁論準備手続期日」「和解期日」「判決言渡期日」等に分類される。

 

(2) 期日の指定

 期日は、申立てにより又は職権で裁判長が指定する(民訴法93条1項)。つまり職権進行主義による。期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる(同条2項)。

 

(3) 期日の呼出し

呼出しの意義

 指定された期日は当事者をはじめとする関係人に告知され、出頭が命じられる。これを呼出しという。

呼出しの方法

 期日の呼出しは、呼出状の送達、又は当該事件について出頭した者に対する「期日の告知」、「その他相当と認める方法(簡易の呼出し)」のいずれかによってする(民訴法94条1項)。

 「その他相当と認める方法」とは、電話等の方法による場合である。

 通常、第1回口頭弁論の期日は呼出状の送達によりなされるが、2回目以降は裁判長が法定に出頭した当事者又は代理人に次回期日を口頭で告知する方法でなされる。

 なお、呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知以外の方法による期日の呼出しをしたときは、期日に出頭しない当事者、証人又は鑑定人に対し、法律上の制限その他期日の不遵守による不利益を帰することができない。ただし、これらの者が期日の呼出しを受けた旨を記載した書面を提出したときは、この限りでない(民訴法94条2項)。

期日の延期と変更

(1) 意義

 期日の変更とは、期日を開く前にその指定を取り消して、別の新たな期日を指定することをいう。

 

(2) 期日の変更の要件

弁論準備手続を経ない口頭弁論における最初の期日(及び弁論準備手続の最初の期日)

 当事者の合意があれば変更を認める(民訴法93条2項ただし書)。最初の期日の場合は、当事者の都合を尋ねることなく、一方的に指定されるのが通常だからである。

弁論準備手続を経ない口頭弁論の続行期日(及び弁論準備手続の続行期日)

 顕著な事由がある場合のみ認める(民訴法93条3項)。

弁論準備手続を経た口頭弁論期日

 やむを得ない事由の存する場合にのみ認められる(民訴法93条4項)。もっとも変更の要件が厳しい。