- 民事訴訟法ー5.訴訟要件
- 3.当事者適格
- 当事者適格
- Sec.1
■趣旨
例えば、A・B間で土地の境界をめぐって紛争がある場合、隣人Cが事件の当事者となっても意味がなく、係争地の所有者であるA・Bのみが当事者となる資格がある。
このように訴訟の目的物につき直接の利害関係をもち、その存否を確定する判決を受ける適格を当事者適格といい、このような地位にある者を正当な当事者という。正当な当事者でないCは、訴訟を追行する資格がなく、仮に訴えを提起したとしてもその訴えは却下される。このように、当事者能力や訴訟能力が個々の事件を離れて一般的な基準で決定されるのに対し、当事者適格は個々の事件における特定の訴訟物との関係で決定される問題である。
■当事者適格を有する者
当事者適格は、訴訟物たる権利関係について法律上の利害関係が対立している者に認められる。すなわち訴訟物たる権利関係についての実体的利益の帰属主体であると自ら主張し又は原告から主張された者が正当な当事者である。
① 給付の訴え
自己の給付請求権を主張する者が原告適格を有し、原告によって給付義務があると主張される者が被告適格を有する。
② 確認の訴え
正当な当事者かどうかの判断は、訴えの利益の問題とされ確認の利益を有する者が正当な原告であり、確認を必要ならしめている者が正当な被告である。
③ 形成の訴え
原告適格・被告適格は法によって個別に規定されているため、それらの者が正当な当事者である。