• 民事訴訟法ー2.訴訟の主体
  • 2.裁判所の管轄
  • 裁判所の管轄
  • Sec.1

1裁判所の管轄

堀川 寿和2022/01/31 15:59

管轄の意義

 民事裁判権は多数の裁判所によって分担されている。この分担の定めを管轄という。つまり裁判権が及ぶ事件を、各裁判所間においてどのように分担するかの定めである。この分担の定めに従い、個々の裁判所に与えられる裁判権が管轄権である。そして、ある事件につき管轄権をもつ裁判所を、その事件の管轄裁判所という。

管轄の分類

 管轄は、管轄が発生する根拠により、「法定管轄」「合意管轄」「応訴管轄」「指定管轄」に分類することができる。さらに法定管轄は、分担を定める基準により「職分管轄」「事物管轄」「土地管轄」に、また、遵守の強弱に基づき「専属管轄」「任意管轄」に区別される。

 

職分管轄

(1) 意義

 裁判所は紛争処理のために種々の手続をどの裁判所の権限(職務分担)とするかの定めを「職分管轄」という。判決手続は受訴裁判所、民事執行手続は保全執行裁判所、破産手続は破産裁判所が管轄裁判所である。

 

(2) 審級管轄

 どの裁判所が最初の裁判をし、その裁判に対してどの裁判所へ上訴できるかの定めを審級管轄という。審級管轄も職分管轄の一種である。

 

(3) 簡易裁判所の職分管轄

 簡易裁判所の特別な職分管轄に、起訴前の和解(民訴法275条)、少額訴訟(民訴法368条)、督促手続(民訴法382条)等がある。