• 商業登記法ー48.一般財団法人に関する登記
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1一般財団法人に関する登記

堀川 寿和2022/01/31 15:25

一般財団法人の意義

 財団法人とは、法人格を付与された財団のことであり、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律に基づいて設立された財団法人のことを一般財団法人と呼ぶ。

 一般社団法人と同様に、事業目的に公益性がなくても、一定の手続及び登記をすることによって設立することができる。

一般財団法人の機関

(1) 一般財団法人の機関

 一般財団法人は、評議員評議員会、理事、理事会及び監事を置かなければならない。(一般法人法170条)また、定款の定めによって、会計監査人を置くことができる。

 評議員会及び理事会は必ず置かなければならないため、評議員3人以上(一般法人法173条3項)理事3人以上(一般法人法177条、65条3項)監事1人以上の選任が必要となる。

 

(2) 任期

① 理事

 理事の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までであり、伸長することはできない。ただし、定款又は社員総会の決議によってその任期を短縮することは可能である。(一般法人法66条)

② 監事

 監事の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までであり、伸長することはできない。ただし、定款によってその任期を選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとすることを限度として短縮することは可能である。(一般法人法67条1項)定款によって、任期満了前に退任した監事の補欠として選任された監事の任期を退任した監事の任期の満了する時までとすることができる。(同条2項)

③ 会計監査人

 会計監査人の任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時評議員会の終結の時までであり、任期の満了する定時評議員会において別段の決議がされなかったときは、再任されたものとみなされる。(一般法人法69条1項2項)

 また、会計監査人を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、会計監査人の任期は当該定款変更の効力が生じた時に満了する。(同条3項)

④ 評議員

 評議員の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までである。ただし、定款によって、その任期を選任後6年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで伸長することが可能(一般法人法174条)

 定款によって、任期満了前に退任した評議員の補欠として選任された評議員の任期を退任した評議員の任期の満了する時までとすることができる。(同条2項)

 

(3) 選任

① 理事、監事、会計監査人の選任

 評議員会の決議による。(一般法人法177条)

② 評議員の選任

 定款で定めた方法による。(一般法人法153条1項8号)

 

一般財団法人の設立

(1) 定款の作成

 一般財団法人を設立するには、設立者(設立者が2人以上あるときは、その全員)が定款を作成し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。(一般法人法152条)一般財団法人は1人で設立できることになる。 cf 一般社団法人

 

(2) 定款の絶対的記載事項

 一般財団法人の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。(一般法人法11条1項)

1. 目的

2. 名称

3. 主たる事務所の所在地

4. 設立者の氏名又は名称及び住所(*2)

5. 設立に際して設立者(設立者が2人以上あるときは、各設立者)が拠出をする財産及びその価額(財産の価額の合計額は、300万円を下回ってはならない)(*3)

6. 設立時評議員、設立時理事及び設立時監事の選任に関する事項

7. 設立しようとする一般財団法人が会計監査人設置一般財団法人であるときは、設立時会計監査人の選任に関する事項

8. 評議員の選任及び解任の方法(*4)

9. 公告方法

10. 事業年度

(*1)収益事業を目的として登記することはできるが、一般社団法人と同様に設立者に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える定款は無効となる。(一般法人法153条3項2号)

(*2)社員は存在しないため、設立者の氏名又は名称及び住所が記載事項とされる。

(*3)事業年度2期連続して貸借対照表上の純資産額が300万円未満となった場合は解散しなければならないといった特徴がある。(一般法人法153条、202条2項)

 一般社団法人と異なり基金の拠出を受けることはできない。つまり基金制度は存在しない。

(*4)なお、理事又は理事会が評議員を選任し又は解任する旨の定款の定めは、その効力を有しない。

 

(3) 定款の認証

 一般財団法人を設立する際に作成した定款(原始定款)は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。(一般法人法152条3項)

 

(4) 財産の拠出

 設立者は、公証人の認証の後遅滞なく、拠出に係る金銭の全額を払い込み、又は拠出に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。(一般法人法157条1項)この払込みは、設立者が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。(一般法人法157条2項)

 

(5) 設立時役員等の選任

① 選任の必要性

(イ)設立時評議員、設立時理事、設立時監事、設立時会計監査人の選任

 定款で設立時評議員、設立時理事又は設立時監事を定めなかったときは、払込み又は給付が完了した後、遅滞なく、定款で定めるところにより、これらの者を選任しなければならない。(一般法人法159条1項)また、設立しようとする一般財団法人が会計監査人設置一般財団法人である場合において、定款で設立時会計監査人を定めなかったときは、財産の拠出の履行が完了した後、遅滞なく、定款で定めるところにより、設立時会計監査人を選任しなければならない。(一般法人法159条2項)

 なお、設立時評議員及び設立時理事は、いずれも3人以上でなければならない。(一般法人法160条1項)

(ロ)設立時代表理事の選任

 設立時理事は、設立時理事の中から一般財団法人の設立時代表理事を選定しなければならない。(一般法人法162条1項)

② 選任方法

 定款で定めた方法によって選定する。

 

(6) 設立時理事等による調査

 設立時理事及び設立時監事は、その選任後遅滞なく、「財産の拠出の履行が完了していること」「一般財団法人の設立の手続が法令又は定款に違反していないこと」を調査しなければならない。(一般法人法161条1項)そして、設立時理事及び設立時監事は、法令もしくは定款に違反し、又は不当な事項があると認めるときは、設立者にその旨を通知しなければならない。(同条2項)

 

(7) 登記申請手続

① 登記期間

 一般財団法人の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から2週間以内にしなければならない。

1. 一般法人法161条1項の規定による調査が終了した日

2. 設立者が定めた日

② 登記事項

 登記事項(一般法人法302条2項)

 一般財団法人の設立登記の際、次の事項を登記しなければならない。

1. 目的

2. 名称

3. 主たる事務所及び従たる事務所の所在場所

4. 一般財団法人の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め

5. 評議員、理事及び監事の氏名

6. 代表理事の氏名及び住所

7. 会計監査人設置一般社団法人であるときは、その旨及び会計監査人の氏名又は名称

8. 一時会計監査人の職務を行うべき者を置いたときは、その氏名又は名称

9. 役員等の責任の免除についての定款の定めがあるときは、その定め

10. 非業務執行理事等が負う責任の限度に関する契約の締結についての定款の定めがあるときは、その定め

11. 貸借対照表等の公告を電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとることとするときは、その貸借対照表の内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの

12. 公告方法

13. 12.の公告方法が電子公告であるときは、次に掲げる事項

イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの

ロ 予備的公告方法の定めがあるときは、その定め

③ 申請人

 一般財団法人の設立の登記は、当該一般財団法人を代表すべき者の申請によってする。(一般法人法319条1項)

④ 添付書類

 一般財団法人の設立登記の申請書には、法令に別段の定めがある場合を除き、次に掲げる書面を添付しなければならない。(一般法人法319条2項)

(イ)定款

(ロ)財産の拠出の履行があったことを証する書面

(ハ)設立時評議員、設立時理事及び設立時監事の選任に関する書面

(ニ)設立時代表理事の選定に関する書面

(ホ)設立時評議員、設立時理事、設立時監事及び設立時代表理事が就任を承諾したことを証する書面

(ヘ)設立時理事、設立時監事又は設立時評議員の本人確認証明書

 登記の申請書に印鑑証明書を添付した場合、印鑑証明書を添付した者の本人確認証明書の添付は不要である。(一般法人規3条、商登規61条5項ただし書)

(ト)設立時会計監査人を選任したときは、次に掲げる書面

a) 設立時会計監査人の選任に関する書面

b) 就任を承諾したことを証する書面

c) 設立時会計監査人が法人であるときは、当該法人の登記事項証明書(当該登記所の管轄区域内に当該法人の主たる事務所がある場合又は、申請書に当該法人の会社法人等番号を記載した場合を除く)

d) 設立時会計監査人が法人でないときは,その者が公認会計士であることを証する書面

(チ)登記すべき事項につき設立者全員の同意又はある設立者の一致を要するときは、その同意又は一致があったことを証する書面

(リ)代理人によって申請する場合、「委任状」