• 商業登記法ー31.持分会社の清算結了の登記
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1持分会社の清算結了の登記

堀川 寿和2022/01/31 14:25

法定清算の手続

(1) 財産目録の作成、保存、報告

 清算人は、その就任後遅滞なく、清算持分会社の財産の現況を調査し、法務省令(会施規160条)で定めるところにより、会社法644条に掲げる場合に該当することとなった日における財産目録及び貸借対照表(以下財産目録等という)を作成し、各社員にその内容を通知しなければならない。(会社法658条1項 )清算持分会社は、財産目録等を作成した時からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、当該財産目録等を保存しなければならない。(同条2項)清算持分会社は、社員の請求により、毎月清算の状況を報告しなければならない。(同条3項)

 

(2) 債権者に対する公告等(合同会社に限る。)

 清算持分会社(合同会社に限る。)は、会社法644条各号に掲げる場合に該当することとなった後、遅滞なく、当該清算持分会社の債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、当該期間は、2か月を下ることができない。(会社法660条1項)当該公告には、当該債権者が当該期間内に申出をしないときは清算から除斥される旨を付記しなければならない。(同条2項)

 なお、清算手続の場合に官報公告に加えて、会社が定める他の公告方法でも公告したとしても、各別の催告が省略できる旨の規定は存在しない。

 

(3) 清算事務の終了

 清算持分会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、清算に係る計算をして、社員の承認を受けなければならない。(会社法667条1項)

 

任意清算の手続

(1) 任意清算によることができる場合

 持分会社(合名会社及び合資会社に限る。)は、定款又は総社員の同意によって、当該持分会社が次に掲げる事由によって解散した場合における当該持分会社の財産の処分の方法を定めることができる。(会社法668条1項 )無限責任社員が存在しない合同会社においては認められない。

① 定款で定めた存続期間の満了

② 定款で定めた解散事由の発生

③ 総社員の同意

 法定清算に関する規定は、財産の処分方法を定めた持分会社については、適用しない。(同条2項)

 この任意清算による場合には、清算人は就任せず代表社員が清算事務を行うことになる。

 

(2) 財産目録の作成

 財産の処分の方法を定めた持分会社が会社法641条1号から3号までに掲げる事由によって解散した場合には、清算持分会社(合名会社及び合資会社に限る。)は、解散の日から2週間以内に、法務省令(会施規160条)で定めるところにより、解散の日における財産目録及び貸借対照表を作成しなければならない。(会社法669条1項) 解散後に財産の処分の方法を定めたときは、清算持分会社は、当該財産の処分の方法を定めた日から2週間以内に、法務省令(会施規160条)で定めるところにより、解散の日における財産目録及び貸借対照表を作成しなければならない。(同条2項)

 

(3) 債権者の異議

 持分会社が財産の処分の方法を定めた場合には、その解散後の清算持分会社の債権者は、当該清算持分会社に対し、当該財産の処分の方法について異議を述べることができる。(会社法670条1項)

 当該場合には、清算持分会社は、解散の日(解散後に財産の処分の方法を定めた場合にあっては、当該財産の処分の方法を定めた日)から2週間以内に、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、公告期間は、1か月を下ることができない。(同条2項) 異議を述べた債権者には、弁済等の手当てをすることになる。

 cf 法定清算の場合には、債権者保護手続は不要である点と比較!

 

登記申請手続

(1) 登記期間

① 本店所在地

 清算が結了したときは、次に掲げる会社の区分に応じ、それぞれに定める日から2週間以内に、その本店の所在地において、清算結了の登記をしなければならない。(会社法929条)

(イ)合名会社・合資会社

a) 会社法667条1項の承認(清算に係る計算についての社員の承認)の日

b) 会社法668条1項の財産の処分の方法を定めた場合(任意清算の場合)にあっては、その財産の処分を完了した日

(ロ)合同会社

 会社法667条1項の承認(清算に係る計算についての社員の承認)の日

② 支店所在地

 清算結了の登記は、支店所在地においても3週間以内にしなければならない。

 

(2) 登記の事由

 「清算結了」と記載する。

 

(3) 登記すべき事項

 清算結了の旨及びその年月日である。

 

(4) 添付書面

① 本店所在地

(イ)法定清算の場合、会社法667条の規定による「清算に係る計算の承認があったことを証する書面

(ロ)任意清算の場合、「財産の処分が完了したことを証する総社員が作成した書面

(ハ)代理人によって申請する場合、「委任状

* 任意清算の場合には、債権者は異議を述べることができるため債権者保護手続きが必要であるが、清算結了の登記の添付書面として「公告及び催告をしたことを証する書面」の添付は不要である。

② 支店所在地

 本店の所在地においてした登記を証する書面(登記事項証明書)を添付すればよい。

 

(5) 登録免許税

① 本店所在地

 申請1件につき、金2000円である。(登録免許税別表一、二十四(四)ハ)

② 支店所在地

 支店所在地においても本店所在地と同様に、申請1件につき、金2000円である。(登録免許税別表一、二十四(四)ハ)

 

清算結了の登記 申請書 記載例                     (本店所在地)

登記の事由

  清算結了

登記すべき事項

  平成何年何月何日清算結了

登録免許税

   金2000

添付書類

   清算に係る計算の承認があったことを証する書面     1通

   委任状                        1通

 

  完了後の登記記録

登記記録に関する事項

平成何年何月何日清算結了

                     平成何年何月何日登記

                     平成何年何月何日閉鎖

(*)清算結了の登記が登記記録区になされ、当該登記記録は閉鎖される。