- 商業登記法ー22.特例有限会社
- 3.登記申請手続
- 登記申請手続
- Sec.1
1登記申請手続
■登記申請手続
(1) 取締役、代表取締役、監査役の就任登記
取締役及び代表取締役の就任登記 申請書 記載例
(新たに取締役としてA及びBが就任し、そのうちAを代表取締役とした場合)
登記の事由
取締役及び代表取締役の変更
登記すべき事項
平成何年何月何日次の者就任
何県何市何町何丁目何番何号
取締役 A
何県何市何町何丁目何番何号
取締役 B
代表取締役 A
登録免許税
金3万円(金1万円) (カ)
添付書類
株主総会議事録 1通
株主リスト 1通
就任承諾を証する書面
議事録の記載を援用する。
印鑑証明書 2通(*1)
委任状 1通
(*1)特例有限会社は、取締役会設置会社以外の株式会社である(会整17条1項、会326条)ため、規則61条4項が適用され、取締役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書には、取締役が就任を承諾したことを証する書面の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。また、商登規61条4項が適用されるため、特例有限会社の取締役の就任による変更の登記では、規則61条7項で規定する本人確認証明書は同項ただし書の適用により添付を要しない。(商登規61条7項ただし書)一方、代表取締役の就任による変更の登記の申請書には、代表取締役の就任を承諾したことを証する書面の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付することを要しない。(H18.3.31民商第782号)
監査役の就任登記 申請書 記載例
(新たに監査役Cが就任した場合)
登記の事由
監査役の変更
登記すべき事項
平成何年何月何日次の者就任
何県何市何町何丁目何番何号
監査役 C
登録免許税
金3万円(金1万円) (カ)
添付書類
株主総会議事録 1通
株主リスト 1通
就任承諾を証する書面
議事録の記載を援用する。
委任状 1通
(2) 代表取締役の氏名抹消の登記
前述のとおり、特例有限会社では、代表取締役の氏名は会社を代表しない取締役がある場合に限って登記される。(会整43条1項)そのため、会社を代表しない取締役がいたため、代表取締役の氏名の登記をしていたが、その後に会社を代表しない取締役が存在しなくなった場合には、代表取締役の氏名の登記は不要となる。この場合になされるべき登記が「代表取締役の氏名抹消」登記である。
この抹消登記をしなければならないケースは、次の2つの場合である。
① 取締役の全員が代表取締役とされた場合
例えば、取締役A及びB、代表取締役をAと定めた特例有限会社がその後Bも代表取締役としたような場合である。この場合、Bの代表取締役の就任の登記をするのではなく、Aの代表取締役の氏名抹消の登記をする。
登記の事由
代表取締役の氏名抹消
登記すべき事項
平成何年何月何日代表権を有しない取締役の不存在により、代表取締役Aの資格及び氏名抹消
登録免許税
金3万円(金1万円) (カ)
添付書類
委任状 1通
② 代表権を有しない取締役(平取締役)の全員が退任した場合
(イ)定款、株主総会の決議によって代表取締役が定められている場合
退任する平取締役が権利義務取締役として残留しない限り、平取締役の退任登記と同時に、代表取締役の氏名抹消登記を申請しなければならない。
(ロ)定款の規定に基づく取締役の互選による場合
パターンとしては、次の2つの場合がある。
a) 「取締役2名を置き、取締役の互選をもってそのうち1名を代表取締役と定める」とした場合
この場合、平取締役の退任によって、一応代表取締役の登記を要する状況が消滅するが、定款の規定によって取締役を常に2名置くことが必要となり、直ちに後任取締役の補充がされることが予定され、そう遠くない時期にまた代表取締役の登記を要する状況が出現する。このような場合にも、杓子定規に代表取締役の氏名抹消登記を要求するとすれば、登記経済に反する結果となる。そこで、この場合には、代表取締役の登記を要する状態がそのまま維持されるとし、代表取締役の氏名抹消登記の申請は、これを要しないものとしている。(S42.5.1民甲1012 号)
b) 「取締役が2名以上存するときは、取締役の互選により代表取締役と定める」とした場合
この場合には、a) と異なり、後任取締役の選任が義務付けられていないため、代表取締役の登記を要しない状況が永続する可能性もある。そこで、原則どおり平取締役の退任登記と同時に、代表取締役の氏名抹消登記を申請しなければならない。
登記の事由
代表取締役の氏名抹消
登記すべき事項
平成何年何月何日取締役が1名となったため、代表取締役Aの資格及び氏名抹消
登録免許税
金3万円(金1万円) (カ)
添付書類
委任状 1通