- 宅建業法ー2.宅建業者
- 3.廃業等の届出と免許換え
- 廃業等の届出と免許換え
- Sec.1
1廃業等の届出と免許換え
■廃業等の届出
宅建業者が死亡したり、破産手続開始の決定を受けたりすると、そのまま宅建業を行うことはできなくなる。そこで、そのような事由が生じた場合は免許権者に届け出させて、業者名簿から削除(消除という)しなければならない。
届出事由は、以下のとおり。
届出事項 | 届出時期 | 届出義務者 | 免許の失効時期 |
① 死亡 | 死亡を知ったときから
30日以内 | 相続人 | 死亡の時 |
② 合併消滅 | その日から
30日以内 | 消滅した法人の
代表役員であった者 | 合併の時 |
③ 破産手続開始決定 | 破産管財人 | 届出の時 | |
④ 解散 | 清算人 | ||
⑤ 廃業 | 廃業した個人または法人の
代表役員 |
『合併』とは、A会社とB会社が合同して新しいC会社を作ったり(新設合併)、A会社がB会社を吸収してA会社だけになったり(吸収合併)することである。残存会社は消滅した会社の権利義務を全て引き継ぐ。
『破産』とは、債務者が、債務超過に陥ってしまうことをいう。破産した債務者の財産は、清算が済むまで破産財団とされ、破産管財人の管理下に置かれる。
Point1 国土交通大臣に廃業等の届出をしようとする者は、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して届け出る(宅建業法78条の3)。
Point2 破産手続開始の決定、解散、廃業があったのにその旨の届出がない場合は、免許取消処分を受ける(宅建業法66条7号)。
■免許換え
(1) 免許換えの必要な場合
誰の免許を受けるかは、事務所の場所によって決まることは前述のとおり。したがって、事務所が新たに設置されたり、事務所が廃止されたりした場合には免許換えが必要になる場合がある。以下のように免許換えをしなければならない。
① 免許換えの申請は、新たな免許が知事免許の場合は直接申請し、国土交通大臣免許の場合は、申請書等の書類を主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して申請する(宅建業法7条1項、4条1項、78条の3)。
② 国土交通大臣又は都道府県知事は、免許をしたときは、遅滞なく、その旨を、従前の免許をした都道府県知事又は国土交通大臣に通知するものとする(宅建業法施行規則4条の5)。
③ また、免許換えの申請があった場合、新たな免許の処分がなされるまでは、従前の免許が効力を有する(宅建業法7条2項)。
④ 免許換えの必要があるのに免許換えの申請がなされていない場合は、免許権者は免許を取り消さなければならない(必要的免許取消)。
(2) 免許換えの効果
免許換えをすると、新たな免許の有効期間が問題となる。
① 新たな免許の有効期間は、新たに免許を受けたときから5年。
② 免許換えによって新たな免許を受けた場合は、従前の免許は効力を失う。 |
Point 新たな免許の有効期間が、従前の免許の残存期間ではないことに注意。
■無免許事業の禁止等
(1) 無免許事業等の禁止
宅建業の免許を受けていない者が宅建業を営んではならないことはすでに学習した。さらに、宅建業の免許を受けていない者は、宅建業を営む旨の表示をしたり、宅建業を営む目的をもって、広告をしたりしてはならないという規制もある。当然のことではあるが併せて知っておこう。
Point1 無免許営業を営んだ者は、3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(宅建業法79条2号)。
Point2 無免許広告等をした場合は、100万円以下の罰金に処す(宅建業法82条2号)。
(2) 名義貸しの禁止
無免許営業は禁止されているので、第三者の免許を借りてでも宅建業を行おうとする者が出てくることが考えられる。宅建業法はそのような者に対する名義貸しを禁止している。
①宅建業者は、自己の名義をもって、他人に宅建業を営ませてはならない。
②宅建業者は、自己の名義をもって、他人に宅建業を営む旨の表示をさせ、又は宅建業を営む目的をもってする広告をさせてはならない。 |
Point それぞれの規定に違反した場合の罰則の内容は、無免許事業等の禁止の場合と同じである。