• 商業登記法ー17.解散に関する登記
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1株式会社の解散

堀川 寿和2022/01/31 10:08

解散の意義

 会社の解散とは、会社がその本来の目的である活動を止め、財産関係の清算状態に入ることをいう。解散後に会社は清算会社として清算の目的の範囲内において存続し、清算手続の終了とともに消滅することになる。(清算結了)清算会社の目的は清算目的の範囲に限られるため、営業を前提とする行為を行うことができない。

解散事由

株式会社の解散原因には、次のものがある。(会社法471条)

① 定款で定めた存続期間の満了(1号)

② 定款で定めた解散の事由の発生(2号)

③ 株主総会の特別決議(3号)

④ 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)(4号)

⑤ 破産手続開始の決定(5号)

⑥ 休眠会社のみなし解散(会社法472条)

⑦ 会社法824条1項又は833条1項の規定による解散を命ずる裁判

 解散を命ずる裁判には、会社の「解散命令」と、会社の「解散の訴え」がある。詳細については、会社法のテキストを参照

解散の効果

 前述のとおり、解散によって会社は清算活動に入る。会社は、清算の目的の範囲内で権利能力を有し存続することになる。(会社法476条)したがって、営業を前提とする行為を行うことができない。

 

(1) 清算中の会社がすることができない行為

① 資本金の額等の計数の変動

 資本金、準備金、剰余金の額の増減に関する規定(会社法447条~451条)は、清算中の会社には適用されないため、資本金の額の減少や準備金又は剰余金の資本組入れをすることはできない。

② 目的変更

 会社は、解散によって清算の目的の範囲内で権利能力を有し存続することになるため、目的変更は無意味であるからである。

 

③ 清算会社を存続会社又は承継会社とする合併、吸収分割

 株式会社が解散した場合には、当該株式会社は自ら存続会社となり合併及び自ら承継会社となる吸収分割はすることができない。(会社法474条)

④ 株式交換及び株式移転

 清算株式会社は、株式交換及び株式移転をすることができない。(会社法509条1項3号)完全親会社になることはもちろん、完全子会社になることもできない。

 

(2) 清算中の会社であってもすることができる行為

① 本店移転

 清算中の会社であっても、本店を移転することは認められる。

② 支店の設置、支配人の選任

 会社法には、これらを可能とする規定(会社法489条6項3号4号)が存在するため、清算中の会社であっても支配人選任及び支店の設置を行うことが可能であると解される。

③ 社債、株式、新株予約権等の発行

 会社法では、清算中の会社が株式、新株予約権、社債もしくは新株予約権付社債の発行を行うことが可能であるとする規定(会社法489条6項5号、487条2項1号)が存在するため、清算中であっても株式、新株予約権、社債もしくは新株予約権付社債の発行を行うことが可能であると解される。