- 商業登記法ー16.資本金の額の増加に関する登記
- 2.剰余金の資本組入れ
- 剰余金の資本組入れ
- Sec.1
1剰余金の資本組入れ
■意義
株式会社は剰余金の額を減少させて、その減少する剰余金を資本金とすることができる。(会社法450条1項)剰余金の額については登記事項とされていないが、減少した剰余金を資本金に組み入れると資本金の額は増加することになるため、その旨の変更登記をすることを要する。
■剰余金の資本組入れの手続き
(1) 剰余金の存在
① 減少額の制限
決議で定める効力発生日における剰余金の額を超えて減少額を定めることはできない。(会社法450条3項)
② 減少できる剰余金の種類
剰余金の額を減少して資本金の額を増加させる場合、減少させる剰余金はその他資本剰余金・その他利益剰余金のいずれでもよい。(会計規25条1項2号)
(2) 決議機関
剰余金の額を減少するためには、株主総会の普通決議が必要である。(会社法450条2項)
剰余金の資本組入れの決議は、準備金の資本組入れの場合と異なり、常に株主総会によることを要するが、必ずしも定時総会による必要はなく、臨時決議でもよい。
(3) 決議事項
次に掲げる事項を定めなければならない。(会社法450条1項)
① 減少する剰余金の額
② 剰余金の額の減少の効力発生日
(4) 債権者保護手続
剰余金の額の減少をするのに、債権者保護手続は不要である。債権者にとってむしろ有利な決議であるからである。
(5) 効力発生日
決議により定めた効力発生日に効力は生じる。
■登記申請手続
(1) 登記の事由
「剰余金の資本組入れ」と記載する。「剰余金の額の減少による資本金の額の増加」とする記載例もある。
(2) 登記すべき事項
変更後の資本金の額及び変更年月日である。
(3) 添付書面
① 剰余金の減少についての「株主総会議事録」
② 株主リスト
③ 「減少に係る準備金が計上されていたことを証する書面」(商登法69条)
決議で定めた効力発生日において減少に係る剰余金が計上されていることを証するためである。
④ 代理人によって申請する場合、「委任状」
* 剰余金の額の減少による資本金の額の増加による変更登記の申請においては資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上したことを証する書面の添付を要しない。(H18.3.31民商782号)減少に係る剰余金の額が計上されていたことを証する書面を添付するため、そこから確認することができるためである。
(4) 登録免許税
増加した資本金の額×1000分の7 (これにより計算した額が3万円に満たない場合には3万円)である。(ニ)
剰余金の資本組入れの登記 申請書 記載例
登記の事由
剰余金の資本組入れ(剰余金の額の減少による資本金の額の増加)
登記すべき事項
平成何年何月何日変更
資本金の額 金 何万円
課税価格
増加した資本金の額
登録免許税
増加した資本金の額×1000分の7
(これにより計算した額が3万円に満たない場合には3万円)
添付書類
株主総会議事録 1通
株主リスト 1通
減少に係る剰余金の額が計上されていたことを証する書面 1通
委任状 1通
完了後の登記記録
資本金の額 |
金×××万円
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金○○○万円 |
平成年月日変更 |
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平成年月日登記 |