• 商業登記法ー14.新株予約権の発行に関する登記
  • 1.新株予約権の発行の意義
  • 新株予約権の発行の意義
  • Sec.1

1新株予約権の発行の意義

堀川 寿和2022/01/28 16:29

意義

 新株予約権とは、株式会社に対して行使することにより当該会社の株式の交付を受けることができる権利をいう。(会社法2条21号)新株予約権発行後に新株予約権が行使された場合、会社は新株予約権者に対して発行することもできるし、会社が保有する自己株式を移転することもできる。

 

新株予約権の発行の方法

 募集株式の発行の場合と同様に次の2つの方法がある。

① 株主割当て

 既存の株主の持株比率に応じて新株予約権を割り当てる方法である。

② 株主割当て以外(第三者割当)

 既存の株主に持株比率に応じないで、新株予約権を割り当てる方法である。広く一般から出資を募る場合(公募)と、一部の限られた範囲から募集する場合(縁故募集)がある。

発行済株式の増加、資本金の額の増加の有無

 新株予約権を発行した段階では、会社は株式を交付する必要はないが、新株予約権者が新株予約権を行使すれば、新株予約権者は株主となり、会社は新株予約権の内容で定めたとおり株式を交付することになる。会社は新たに新株を発行して新株主に株式を交付する場合と、新たな株式を発行せずに会社が有する自己株式を交付する場合がある。会社が新たに新株を発行し新株予約権を行使した者に交付する場合には、発行済株式総数も資本金の額も増加することになるため、登記事項に変更が生じることになり、変更登記が必要となる。一方、会社が有する自己株式を交付する場合には、発行済株式総数も資本金の額も増加することはない。しかし、新株予約権の数等の登記事項に変更が生じることになるため、いずれの場合も新株予約権の行使による変更登記をする必要がある。詳しくは、後述する。 cf 募集株式の発行の場合