- 商業登記法ー13.募集株式の発行に関する登記
- 6.募集以外の事由による株式の発行に関する登記
- 募集以外の事由による株式の発行に関する登記
- Sec.1
1募集以外の事由による株式の発行に関する登記
■意義
種類株式発行会社が取得請求権付株式・取得条項付株式・全部取得条項付種類株式を取得した結果、その対価として、会社の他の種類の種類株式を対価とする旨を定めている場合には、その種類の株式を交付することになる。
■登記の必要性
対価として交付する株式のすべてが、会社の有する自己株式であれば、発行済株式総数が増加するわけではなく、変更登記の必要はないが、新たに当該種類の株式を発行して交付した場合には、発行済株式総数並びに発行済各種の株式の数に変更が生じるため、その旨の変更登記を要することになる。なお、会社が取得した種類株式は、自己株式となるため、その部分については、特に変更登記の必要はないことになる。なお、資本金の額については、いずれの場合にも変動はない。
■取得請求権付株式の取得と引換えにする株式の発行
(1) 手続き
取得請求権付株式の株主は、株式会社に対して、当該株主の有する取得請求権付株式を取得することを請求することができる。ただし、交付するのが、社債、新株予約権、新株予約権付社債、その他会社財産である場合、これらの財産の帳簿価額の合計額が当該請求の日における分配可能額を超えているときは、取得することができない。一方、株式を対価とする場合には、財源規制はかからない。
(2) 登記申請手続
① 登記期間
会社が新たに株式を発行して交付した場合には、毎月末日現在より、当該末日から2週間以内に本店所在地において変更登記をすればよい。つまり、1か月の間になされた取得請求分をまとめて月末から2週間以内に登記をすればよいということである。
② 登記の事由
「取得請求権付株式の取得と引換えにする株式の発行」と記載する。
③ 登記すべき事項
発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数並びに変更年月日である。
④ 添付書面
(イ)取得請求権付株式の取得の請求があったことを証する書面
(ロ)代理人の申請による場合は、委任状
⑤ 登録免許税
申請1件につき、金3万円(別表一、二十四(一)ツ)
取得請求権付株式の取得と引換えにする株式の発行の登記 申請書 記載例
(取得請求権付株式である普通株式1500株のうち、1000株分について取得請求があった場合)
登記の事由
取得請求権付株式の取得と引換えにする株式の発行
登記すべき事項
平成何年何月何日変更
発行済株式の総数 2500株
各種の株式の数
普通株式 1500株
優先株式 1000株
登録免許税
金3万円(ツ)
添付書類
取得請求権付株式の取得の請求があったことを証する書面 1通
委任状 1通
完了後の登記記録
発行済株式の総数 並びに種類及び数 |
発行済株式の総数 1500株 各種の株式の数 普通株式 1500株 |
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発行済株式の総数 2500株 各種の株式の数 普通株式 1500株 優先株式 1000株 |
平成年月日変更 |
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平成年月日登記 |
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資本金の額 |
金3000万円 |
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発行可能種類株式 総数及び発行する 各種類の株式の内容 |
普通株式 6000株 優先株式 6000株 普通株式を有する株主は、当会社に対していつでもその有する株式の取得を 請求することができる。会社が取得した株式を有していた者に対して、その有していた株式1株につき優先株式1株を交付する。 優先株式を有する株主は、剰余金の配当について、普通株式を有する株主より1株につき100円多くの配当を受ける。 平成年月日変更 平成年月日登記 |