• 商業登記法ー7.役員・会計監査人に関する登記
  • 8.特別取締役の登記
  • 特別取締役の登記
  • Sec.1

1特別取締役の登記

堀川 寿和2022/01/28 10:39

特別取締役の意義

 委員会設置会社以外の通常の機関設計を採用する大規模な会社では、取締役の員数が多かったり、地方や海外の支店等に常駐している者いるため、迅速に取締役会を開催して機動的な意思決定をすることが困難な場合がある。このような会社が、迅速な業務執行上の決定を可能にするために認められたのが、特別取締役による取締役会の制度である。

特別取締役による取締役会の決議事項

 次の一定の要件を満たす株式会社は、取締役会の決議により、① 重要な財産の処分及び譲受け、② 多額の借財についての取締役会の決議については、あらかじめ選定した3人以上の取締役をもって行うことができる旨を定めることができ、この取締役を特別取締役という。この定めは、定款によることを要しない。

特別取締役制度を採用するための要件

 特別取締役の制度を採用するための要件は以下のとおりである。(会社法373条1項各号)

① 取締役会設置会社(指名委員会等設置会社を除く。)であること

② 取締役の数が6人以上であること

③ 取締役のうち1人以上が社外取締役であること

 指名委員会等設置会社においては、多くの権限が執行役に移譲されており、迅速で機動的な意思決定が可能であるため、特別取締役による取締役会制度を設けることはできない。

 また、監査等委員会設置会社において、取締役の過半数が社外取締役である場合又は取締役会の決議によって重要な業務執行の決定を取締役に委任することができる旨を定款で定めている場合は、特別取締役の議決の定めを設けることができない。(会社法373条柱書カッコ書 399条の13 5項柱書6項)