• 商業登記法ー7.役員・会計監査人に関する登記
  • 6.会計監査人
  • 会計監査人
  • Sec.1

1会計監査人

堀川 寿和2022/01/28 10:30

会計監査人の意義

(1) 意義

 会計監査人とは、株式会社の計算書類等を監査する者をいう。(会社法396条1項)。この会計監査人を置く株式会社又は会社法の規定により会計監査人を置かなければならない株式会社を会計監査人設置会社という。(会社法2条11号)

 

(2) 会計監査人の設置

 監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、会計監査人を置かなければならない。(会社法327条5項)それ以外の会社においても定款で定めることによって会計監査人を置くことができるが、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く会計監査人設置会社は、監査役の設置が義務付けられる。(会社法327条3項)

 

(3) 会計監査人の資格

 会計監査人は、公認会計士又は監査法人でなければならない。(会社法337条1項)

 会計監査人に選任された監査法人は、その社員の中から会計監査人の職務を行うべき者を選定し、これを株式会社に通知しなければならない。(同条2項)

 

(4) 会計監査人の欠格事由

 次に掲げる者は、会計監査人となることはできない。(会社法337条3項)

1. 公認会計士法の規定により計算書類について監査することができない者

2. 株式会社の子会社もしくはその取締役、会計参与、監査役もしくは執行役から公認会計士もしくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者又はその配偶者

3. 監査法人でその社員の半数以上が②に掲げる者であるもの

 

会計監査人の任期

① 法定任期

 会計監査人の任期は選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までである。(会社法338条1項)なお、この任期は、伸長も短縮もできない。

② 再任擬制

 ただ、当該定時株主総会で別段の決議(不再任の決議、後任者の選任決議等)がなければ再任されたものとみなされる。(会社法338条2項)

③ 会計監査人設置の定款廃止

 会計監査人を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合は、その定款変更の効力発生時に会計監査人の任期が満了する。(会社法338条3項)

会計監査人の選任

(1) 株主総会普通決議

 会計監査人も、株主総会の決議によって選任する。(会社法329条1項)取締役等と違って定款で定足数を3分の1未満にすることも可能である通常の普通決議である。なお、会計監査人は役員ではないため、補欠の選任についての規定は存在しない点に注意!

 

(2) 会計監査人の選任等に関する議案の内容の決定

① 監査役設置会社

 監査役設置会社においては、株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容は、監査役が決定する。(会社法344条1項)監査役が2人以上ある場合は監査役の過半数の同意による。(会社法344条2項)

② 監査役会設置会社

 監査役会設置会社においては監査役会が決定する。(会社法344条3項)