- 商業登記法ー7.役員・会計監査人に関する登記
- 5.会計参与
- 会計参与
- Sec.1
1会計参与
■会計参与の意義
(1) 意義
会計参与とは、取締役と共同して計算書類などを作成する会社の機関をいう。
また、取締役と共同して計算書類等を作成するほか、会計参与報告を作成し、計算書類などの承認をする取締役会に出席して意見を述べ、その事務所(会計参与設置会社の本店又は支店と異なる場所に限る。)に計算書類等を備え置き、株主及び債権者の閲覧請求又は謄抄本の交付請求に応ずる義務等を負う。この会計参与を置く株式会社を、会計参与設置会社という。(会社法2条8号)
(2) 設置の要否
会社は、定款の定めによって会計参与を置くことができる。(会社法326条2項)なお、公開会社でない取締役会設置会社が監査役を設置しない場合には、会計参与を置く必要がある。(会社法327条2項)基本的に、設置は任意であるが、公開会社でない取締役会設置会社において、監査役を置いていない場合は、会計参与の設置が義務付けられることになる。
(3) 資格
会計参与は、公認会計士もしくは監査法人又は税理士もしくは税理士法人でなければならない。(会社法333条1項)会計参与に選任された監査法人又は税理士法人は、その社員の中から会計参与の職務を行うべき者を選定し、これを株式会社に通知しなければなければならない。(同条2項)
(4) 欠格事由
次に掲げる者は会計参与になることができない。(会社法333条3項)
① 株式会社又はその子会社の取締役、監査役もしくは執行役又は支配人その他の使用人
② 業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
③ 税理士法の規定により税理士業務を行うことができない者
■会計参与の選任
会計参与も取締役や監査役と同様に、株主総会の普通決議によって選任される。(会社法329条1項)定足数は定款をもってしても総株主の議決権の3分の1未満に軽減することができない。
また、補欠の会計参与を選任しておくことも可能である。(同条3項)
■会計参与の就任
(1) 会計参与の就任承諾
会計参与と会社の関係も委任に関する規定に従うとされているため、株主総会で会計参与に選任された者が就任の承諾をして初めて、会計参与に就任することになる。
(2) 登記申請手続
① 登記の事由
「会計参与の変更」と記載する。
② 登記すべき事項
会計参与の氏名又は名称及び就任の旨、計算書類等の備置き場所並びに就任年月日である。
計算書類等の備置き場所は、次の2つの要件を満たす必要がある。
(イ)会計参与である公認会計士(監査法人)・税理士(法人)の事務所の場所であること
(ロ)計算書類等を会社が備え置くべき場所である株式会社の本店又は支店とは異なる場所であること
③ 添付書面
(イ)会計参与の選任を証する「株主総会議事録」
(ロ)株主リスト
株主総会議事録の添付を要する際にあわせて添付する。
(ハ)就任承諾を証する書面
取締役の場合と同様に、会計参与の選任決議において、被選任者が選任決議の場に居合わせ、席上で就任承諾の意思表示をし、その旨が株主総会議事録に記載されていれば、当該議事録を就任承諾書として援用することができる。
(ニ)資格を証する書面
a) 会計参与が法人でない場合
公認会計士又は税理士であることを証する書面(商登法54条2項3号)
具体的には、日本公認会計士協会や日本税理士会連合会が作成したものを添付する。
b) 会計参与が法人である場合
法人の登記事項証明書(商登法54条2項2号)
作成後3か月以内のものを添付する。(商登規36条の2)。
ただし、その法人の主たる事務所が申請会社の本店を管轄する登記所の管轄区域内にあるとき(商登法54条2項2号但書)又は、申請書に当該法人の会社法人等番号を記載した場合(商登法19条の3)には、登記事項証明書の添付は不要である。
(ホ)代理人によって申請する場合の「委任状」
④ 登録免許税
申請1件につき3万円(資本金の額が1億円以下の会社については、1万円)(登録免許税別表1、24、(1)カ)
会計参与の就任登記 申請書 記載例
登記の事由 会計参与の変更
登記すべき事項 平成何年何月何日就任
会計参与 巳野 六郎
(書類等備置場所)何県何市何町何丁目何番何号
登録免許税 金3万円(資本金の額が1億円以下の会社の場合は、金1万円)
添付書類 株主総会議事録 1通
株主リスト 1通
就任承諾を証する書面
株主総会議事録の記載を援用する。
公認会計士又は税理士であることを証する書面 1通
委任状 1通
完了後の登記記録
役員に関する事項 |
会計参与 巳野 六郎 (書類等備置場所) 何県何市何町何丁目何番何号 |
平成年月日就任 |
平成年月日登記 |