• 商業登記法ー6.株式に関する登記
  • 5.株式の併合
  • 株式の併合
  • Sec.1

1株式の併合

堀川 寿和2022/01/27 15:04

株式の併合の意義

 株式の併合とは、株式の分割の場合と逆に、例えば10株を1株とするように、複数の株式を合わせて少数にする場合をいう。1株当たりの出資単位が低くなった場合に用いられる手法である。

 

        5000円 × 10000株 = 5000万円

                  ↓ 10株を1株に併合

        5万円   ×  1000株 = 5000万円

 

発行済株式の総数の減少

 株式の併合により、発行済株式の総数が減少することになるため、その変更登記が必要となるが、資本金の額は減少することはない。

実体手続

(1) 株主総会の特別決議

 株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の特別決議によって次の事項を定めなければならない。(会社法180条2項)取締役は、株主総会において、株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない。

① 併合の割合

② 株式の併合がその効力を生ずる日(効力発生日)

③ 株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類(*1)

④ 効力発生日における発行可能株式総数(*2)

(*1)種類株式発行会社は、種類ごとに株式併合を行うことができる。

(*2)公開会社においては、効力発生日における発行可能株式総数は、発行済株式の総数の4倍を超えることができない。公開会社でない会社においては、このような制限はない。

 

(2) 種類株主総会決議

 種類株式発行会社が株式の併合を行う場合において、ある種類の株式の株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の特別決議を経なければならない。(会社法322条1項2号、324条2項4号)

 なお、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、種類株主総会決議は不要である。(会社法322条1項ただし書)また、定款にある種類の株式の内容として、当該種類株主総会決議を要しない旨が規定されているときは、種類株主総会決議は不要となる。(会社法322条3項)

 

(3) 株主及び登録株式質権者に対する通知

 会社は、株式の併合の効力発生日の2週間前までに、株主及びその登録株式質権者に対し、(1)の①~④に掲げる事項を通知しなければならない。(会社法187条2項)

 cf 株式無償割当ての際の通知は、効力発生後にすればよかった点と比較!

 

(4) 株券提供公告

 株券発行会社が株式の併合をする場合には、当該行為の効力が生ずる日(株券提出日)までに当該株券発行会社に対し、当該行為の対象となる株式に係る株券を提出しなければならない旨を当該効力発生日(株券提出日)の1か月前までに公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。ただし、併合する株式の全部について株券を発行していない場合は、株券提供公告及び通知は不要である。(会社法219条1項)

 

(5) 効力発生日

 株主は、決議で効力発生日と定めた日に、その日の前日に有する株式の数に、併合の割合を乗じて得た数の株式の株主となる。(会社法182条1項) また、株式併合の効力発生日に、定款の発行可能株式総数が株主総会決議のとおりに変更されたものとみなされる。(同条2項)