- 商業登記法ー6.株式に関する登記
- 2.株式の分割
- 株式の分割
- Sec.1
1株式の分割
■株式の分割の意義
株式の分割とは、すでに発行されている株式について、1株を2株に、1株を10株にというように株式を細分化して、発行済株式総数を増加させることである。なお、株式の分割は、株主の有する株式の数が一律に増加するものであるため、自己株式の数も増加する。cf 株式無償割当て
株式の分割は、一般的に高くなりすぎた株価を引き下げて、市場で流通しやすくする目的でなされることが多い。
10万円 ×100株 = 1000万円
↓ 1株を10株に分割
1万円 ×1000株 = 1000万円
■実体手続
(1) 株主総会の決議又は取締役会の決議
株式会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、次の事項を定めなければならない。(会社法183条2項)
① 株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式(種類株式発行会社にあっては、③の種類の発行済株式)の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日 ② 株式の分割がその効力を生ずる日 ③ 株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類 |
(2) 種類株主総会決議
種類株式発行会社が株式の分割を行う場合において、ある種類の株式の株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の特別決議を経なければならない。(会社法322条1項2号、324条2項4号)
なお、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、種類株主総会決議は不要である。(会社法322条1項ただし書)また、定款にある種類の株式の内容として、当該種類株主総会決議を要しない旨が規定されているときは、種類株主総会決議は不要となる。(会社法322条3項)
(3) 基準日
株式の分割決議で定めた基準日に株主名簿に記載又は記録されている株主が株式の分割によって株式の交付を受ける権利を有することになる。(会社法124条1項)会社は、株式の分割に係る基準日の2週間前までに、当該基準日及び株式の分割の内容を公告しなければならない。(会社法124条3項)
(4) 効力発生日
基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主は、決議で効力発生日と定めた日に、基準日に有する株式の数に分割の割合を乗じて得た数の株式を取得する。(会社法184条1項)株式の分割は、株主の有する株式の数が一律に増加するものであるから、自己株式の数も増加する。