- 商業登記法ー6.株式に関する登記
- 1.発行可能株式総数の変更
- 発行可能株式総数の変更
- Sec.1
1発行可能株式総数の変更
■発行可能株式総数の意義
発行可能株式総数とは、株式会社が発行することができる株式の総数のことである。(会社法37条1項)会社は、この発行可能株式総数の範囲内で株式を発行しなければならない。
■発行可能株式総数についての規定
(1) 発行可能株式総数の減少についての規制
株式会社は、定款を変更して発行可能株式総数についての定めを廃止することができない。(会社法113条1項)また、定款を変更して発行可能株式総数を減少するときは、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数を下ることができない。
(2) 発行可能株式総数の増加についての規制
次に掲げる場合には、当該定款の変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の4倍を超えることができない。
① 公開会社が定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合
② 公開会社でない株式会社が定款を変更して公開会社となる場合(*1)
(*1)平成26年改正
発行可能株式総数の増加についての制限
公開会社 |
発行済株式総数の4倍を超えることはできない。(会社法113条3項1号) |
公開会社でない会社 |
上記のような制限はない。 |
発行可能株式総数 10000株
発行済株式の総数 1000株
(3) 新株予約権の発行分の枠の留保
新株予約権(会社法236条1項4号の期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が282条1項の規定により取得することとなる株式の数は、発行可能株式総数から発行済株式(自己株式を除く。)の総数を控除して得た数を超えてはならない。(会社法113条4項)
例えば、発行可能株式数が1000株、発行済株式の総数が500株(自己株式はなし)、行使期間が到来した新株予約権の目的である株式の数が300株である場合、発行可能株式総数を800株より少なくしてはならない。
■発行可能種類株式の総数
種類株式発行会社においては、発行可能株式総数のほか、発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。(会社法108条2項)各種類の株式の発行可能種類株式総数の合計数が発行可能株式総数を超えてもよいし、逆に、発行可能株式総数を下回ってもよいが、発行可能株式総数を超えて種類株式の発行ができるわけではない点に注意!
(ex1) 発行可能株式総数 1000株 (ex2)発行可能株式総数 1000株
発行可能種類株式総数 発行可能種類株式総数
普通株式 500株 A種類株式 700株
優先株式 500株 B種類株式 500株
(ex3) 発行可能株式総数 1000株
発行可能種類株式総数
甲種類株式 400株
乙種類株式 400株