• 商業登記法ー5.定款変更に伴う変更登記
  • 7.貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項の登記
  • 貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項の登記
  • Sec.1

1貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項の登記

堀川 寿和2022/01/27 14:05

意義

 株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない(会社法440条1項)とされている。

 

(1) 公告をする方法が電子公告である会社の場合

 電子公告の方法で貸借対照表の全文の公告をしなければならない。

 

(2) 公告をする方法が「官報」又は「時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙」である会社の場合

 「官報」又は「時事を掲載する日刊新聞紙」において、貸借対照表の要旨を公告することで足りる。(会社法440条2項)

 この貸借対照表の公告は、いわゆる電磁的公示によって代えることが認められている。すなわち、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表の内容である情報を、定時株主総会の終結の日後5年を経過する日までの間、継続して不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置を採ることができるのである。この措置を採ることとした場合、その情報の提供を受けるために必要な事項であるインターネットアドレス(URL)が登記事項となる。(会社法911条3条26号、会施規220条1項1号)

 

(3) 金融商品取引法24条1項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない株式会社の場合

 公衆の縦覧やEDINETの閲覧により開示されるため、貸借対照表又は要旨の公告は求められず、電磁的公示をする必要もない。(会社法440条4項)

電磁的公示を採用できる会社

 貸借対照表の電磁的公示の措置は、定款に公告方法の定めのない株式会社及び定款で公告方法が官報又は時事に関する日刊新聞紙に掲載する方法とされている株式会社のみが採ることができる。公告方法が「電子公告」の場合には、決算公告も電子公告でなされるため、あらためて決算公告につき電磁的公示方法を採用することはできない。

 

実体手続

 当該事項は、定款記載事項ではないため、その設定、変更又は廃止は、会社の代表者が業務の決定として行えばよい。(ハンドブック、会社法440条3項)したがって、株主総会の決議等は不要である。