- 会社法ー4.組織再編
- 2.会社分割
- 会社分割
- Sec.1
1会社分割
■会社分割の意義
(1) 会社分割の意義
会社分割とは、株式会社または合同会社が事業に関して有する権利義務の全部または一部を、会社分割後新たに設立する会社または既存の他の会社に承継させることをいう(会社法2条29号30号)。
どの権利義務が承継されるのかについては、吸収分割契約または新設分割計画に定めるところによる。したがって、会社分割により承継される権利義務であるか否かは、吸収分割契約または新設分割計画に承継されるものとして記載されているか否かによって決定されることになる。
(2) 会社分割の類型
① 吸収分割と新設分割
(a) 吸収分割
既に存在する他の会社(承継会社)に、分割をする会社(吸収分割会社)の事業に関して有する権利義務を承継させることをいう(会社法2条29号)。
(b) 新設分割
新しく設立する会社(新設会社)に、分割をする会社(新設分割会社)の事業に関して有する権利義務を承継させることをいう(会社法2条30号)。
② 物的分割と人的分割
(a) 物的分割
新設会社または承継会社が、分割会社(新設分割会社•吸収分割会社)に、分割対価(株式、社債、新株予約権、新株予約権付社債または金銭その他株式等以外の財産)を交付するものである。
(b) 人的分割
新設会社または承継会社が、分割会社(新設分割会社・吸収分割会社)の株主に、分割対価(株式、社債、新株予約権、新株予約権付社債または金銭その他株式等以外の財産)を交付するものである。
なお、この人的分割は、旧商法の概念であり、会社法になってからは、規定上人的分割はなくなり、分割対価は、分割会社(新設分割会社・吸収分割会社)に必ず交付されることになったが、物的分割後、新設会社または承継会社の株主に対価となった分割会社の株式を現物配当することにより、人的分割と同様の効果を生じさせることは引き続き可能である。
(3) 会社分割の可否
株式会社および合同会社は、吸収分割会社または新設分割会社となることができるが、合名会社および合資会社は吸収分割会社または新設分割会社となることができない(会社法757条、762条1項)。
会社の種別 |
分割会社 |
承継会社または設立会社 |
|
株式会社 |
○ |
○ |
|
持 分 会 社 |
合同会社 |
○ |
○ |
合名会社 |
× |
○ |
|
合資会社 |
× |
○ |
■吸収分割ー1
(1) 吸収分割手続の流れ
(2) 吸収分割契約
① 株式会社に権利義務を承継させる吸収分割契約の内容
会社が吸収分割をする場合、当事会社である吸収分割会社と吸収分割承継会社は、吸収分割契約を締結しなければならない(会社法757条)。会社が吸収分割をする場合において、吸収分割承継会社が株式会社であるときは、吸収分割契約において、次に掲げる事項を定めなければならない(会社法758条)。(*1)
1. 吸収分割会社および吸収分割承継株式会社の商号および住所(1号) 2. 吸収分割承継株式会社が吸収分割により吸収分割会社から承継する資産、債務、雇用契約その他の権利義務に関する事項(2号) 3. 吸収分割により吸収分割株式会社または吸収分割承継株式会社の株式を吸収分割承継株式会社に承継させるときは、当該株式に関する事項(3号) 4. 吸収分割承継株式会社が吸収分割に際して吸収分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部または一部に代わり吸収分割承継株式会社の株式を交付するときは、当該株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類および種類ごとの数)またはその数の算定方法ならびに当該吸収分割承継株式会社の資本金および準備金の額に関する事項(4号イ) 5. 吸収分割承継株式会社が吸収分割に際して吸収分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部または一部に代わり吸収分割承継株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは、当該社債の種類および種類ごとの各社債の金額の合計額またはその算定方法(4号ロ) 6. 吸収分割承継株式会社が吸収分割に際して吸収分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部または一部に代わり吸収分割承継株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該新株予約権の内容および数またはその算定方法(4号ハ) 7. 吸収分割承継株式会社が吸収分割に際して吸収分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部または一部に代わり吸収分割承継株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、当該新株予約権付社債についての5.に掲げる事項および当該新株予約権付社債に付された新株予約権についての6.に掲げる事項(4号ニ) 8. 吸収分割承継株式会社が吸収分割に際して吸収分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部または一部に代わり吸収分割承継株式会社の株式等(*2)以外の財産を交付するときは、当該財産の内容および数もしくは額またはこれらの算定方法(4号ホ) 9. 吸収分割承継株式会社が吸収分割に際して吸収分割株式会社の新株予約権の新株予約権者に対して当該新株予約権に代わる当該吸収分割承継株式会社の新株予約権を交付するときは、吸収分割契約新株予約権(*3)の内容(5号イ) 10. 吸収分割契約新株予約権の新株予約権者に対して交付する吸収分割承継株式会社の新株予約権の内容および数またはその算定方法(5号ロ) 11. 吸収分割契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権であるときは、吸収分割承継株式会社が当該新株予約権付社債についての社債に係る債務を承継する旨ならびにその承継に係る社債の種類および種類ごとの各社債の金額の合計額またはその算定方法(5号ハ) 12. 9.〜11.の事項を定めた場合には、吸収分割契約新株予約権の新株予約権者に対する吸収分割承継株式会社の新株予約権の割当てに関する事項(6号) 13. 吸収分割がその効力を生ずる日(7号) 14. 吸収分割株式会社が効力発生日に、取得対価が吸収分割承継株式会社の株式(吸収分割株式会社が吸収分割をする前から有するものを除き、吸収分割承継株式会社の株式に準ずるものとして法務省令で定めるものを含む。)である全部取得条項付種類株式の取得を行うときは、その旨(8号イ) 15. 吸収分割株式会社が効力発生日に剰余金の配当(配当財産が吸収分割承継株式会社の株式(吸収分割株式会社が吸収分割をする前から有するものを除き、吸収分割承継株式会社の株式に準ずるものとして法務省令で定めるものを含む。)のみであるものに限る。)をするときは、その旨(8号ロ) |
(*1)つまり、どの会社とどの会社が会社分割するのかを1.で定め、2.および3.で吸収分割により承継される権利義務を、4.~8.で吸収分割会社に対して交付される対価の内容を、吸収分割会社が新株予約権を発行している場合で新株予約権者に吸収分割承継株式会社の新株予約権を交付する場合には、9.~12.で交付する新株予約権の内容等を、13.で吸収分割の効力発生日を定める。また、人的分割と同様の効果を生じさせる場合には、14.および15.でその旨を定めることになる。
(*2)ここでいう株式等とは、株式のほか、社債、新株予約権のことを指す。
(*3)吸収分割契約新株予約権とは、吸収分割承継株式会社の新株予約権の交付を受ける吸収分割株式会社の新株予約権の新株予約権者の有する新株予約権のことを指す。
■吸収分割ー2
吸 収 分 割 契 約 書
ABC株式会社(以下、甲という。)とXYZ株式会社(以下、乙という。)は、甲の有するホテル事
業に関する権利義務を分割し、乙に承継させるため、以下のとおり吸収分割契約を締結する。
第1条 甲は、本契約の定めるところに従い、吸収分割の方法により、ホテル事業に関する権利義務の全部を分割し、乙はこれを承継する。
第2条 甲は、合併に際して、普通株式1000株を発行し、合併の効力発生日前日の最終のこの株主名簿に記載された株主に対し、その保有するこの株式1株につき甲の普通株式1株の割合をもって交付する。ただし、甲が所有する乙の株式については、交付しない。
第3条 乙は、分割に際して、新たに発行する普通株式1000株を甲に割り当てる。
第4条 乙は、この分割により、その資本金を3000万円増加する。乙は、吸収分割により生じた吸収分割差益全額については、資本準備金とする。
第5条 乙が甲から承継する権利義務は、分割の効力発生日におけるホテル事業についての債権、債務およびこれに付随する一切の権利義務とする。
2 乙は、甲と雇用契約を締結している従業員であって本契約により分割する事業に従事する者を対象として、甲の労働契約上の地位を承継する。
3 甲は、前2項の規定によりこが承継するすべての債務について、分割の効力発生日をもって重畳的に債務を引き受ける。
第6条 乙は、吸収分割に際して、新株予約権10個を発行し、効力発生日前日最終の甲の第1回新株予約権の新株予約権者に対して、甲の新株約権1個に対してこの新株予約権1個の割合で割り当てる。
第7条 吸収分割の効力発生日は、令和何年何月何日とする。ただし、この期日までに吸収分割に関し必要な手続が終了しないとき、その他やむを得ない事情があるときは、甲乙協議の上でこの期日を変更することができる。
第8条 甲および乙は効力発生日の前日までに、それぞれ本契約の承認および吸収分割に必要な事項に関する機関の決定を行うことを要する。
第9条 甲および乙は、本契約締結後分割の効力発生日まで、善良なる管理者としての注意義務をもってそれぞれの業務を執行し、かつ一切の財産管理の運営をなすものとし、かつその財産または権利義務に重大な影響を及ぼす事項については、あらかじめ甲乙で協議の上で、これを決定する。
第10条 本契約締結の日から効力発生日までに、天災地変その他の事由により、甲および乙の財産又は経営状態に重大な変動が生じた場合は、甲乙で協議の上で、分割条件を変更しまたは本契約を解除することができる。
第11条 本契約は、法令に定められた関係官庁等の承認が得られないときは、その効力を失う。
第12条 本契約に定めるもののほか、吸収分割に際し必要な事項は、本契約の趣旨に従って、甲乙で協議の上、これを定める。
本契約締結の証として本書1通を作成し、甲・乙記名押印のうえ、甲がこれを保有する。
令和○○年○月○○日
(甲)(吸収分割株式会社)大阪市北区梅田一丁目1番1号
ABC株式会社
代表取締役 甲野 太郎 印
(乙)(吸収分割承継会社)神戸市中央区三宮一丁目1番1号
XYZ株式会社
代表取締役 乙野 次郎 印
② 持分会社に権利義務を承継させる吸収分割契約の内容
会社が吸収分割をする場合において、吸収分割承継会社が持分会社であるときは、吸収分割契約において、次に掲げる事項を定めなければならない(会社法760条)。
1. 吸収分割会社および吸収分割承継持分会社の商号および住所(1号) 2. 吸収分割承継持分会社が吸収分割により吸収分割会社から承継する資産、債務、雇用契約その他の権利義務に関する事項(2号) 3. 吸収分割により吸収分割株式会社の株式を吸収分割承継持分会社に承継させるときは、当該株式に関する事項(3号) 4. 吸収分割会社が吸収分割に際して吸収分割承継持分会社の社員となる場合において、吸収分割承継持分会社が合名会社であるときは、当該社員の氏名または名称および住所ならびに出資の価額(4号イ) 5. 吸収分割会社が吸収分割に際して吸収分割承継持分会社の社員となる場合において、吸収分割承継持分会社が合資会社であるときは、当該社員の氏名または名称および住所、当該社員が無限責任社員または有限責任社員のいずれであるかの別ならびに当該社員の出資の価額(4号ロ) 6. 吸収分割会社が吸収分割に際して吸収分割承継持分会社の社員となる場合において、吸収分割承継持分会社が合同会社であるときは、当該社員の氏名または名称および住所ならびに出資の価額(4号ハ) 7. 吸収分割承継持分会社が吸収分割に際して吸収分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部または一部に代わり吸収分割承継持分会社の社債を交付するときは、当該社債の種類および種類ごとの各社社債の金額の合計額またはその算定方法(5号イ) 8. 吸収分割承継持分会社が吸収分割に際して吸収分割会社に対してその事業に関する権利義務の全部または一部に代わり吸収分割承継持分会社の持分以外の財産を交付する場合であって、その財産が社債以外の財産であるときは、当該財産の内容および数もしくは額またはこれらの算定方法(5号ロ) 9. 吸収分割がその効力を生ずる日(6号) 10. 吸収分割株式会社が効力発生日に取得対価が吸収分割承継持分会社の持分(吸収分割株式会社が吸収分割をする前から有するものを除き、吸収分割承継持分会社の持分に準ずるものとして法務省令(会施規178条)で定めるものを含む。)である全部取得条項付種類の株式の取得をする場合は、その旨(7号イ) 11. 吸収分割株式会社が効力発生日に剰余金の配当(配当財産が吸収分割承継持分会社の持分(吸収分割株式会社が吸収分割をする前から有するものを除き、吸収分割承継持分会社の持分に準ずるものとして法務省令(会施規178条)で定めるものを含む。)のみであるものに限る。)をするときは、その旨(7号ロ) |
(*1)つまり、どの会社とどの会社が会社分割するのかを1.で定め、吸収分割により承継される権利義務を2.および3.で、吸収分割会社に対して交付される対価が持分である場合は、吸収分割承継持分会社において定款が必要となり、変更後の定款の内容を4.~6.で定め、対価が持分以外の場合には、その対価の内容を7.および8.で、9.で吸収分割の効力発生日を定める。さらに人的分割と同様の効果を生じさせる場合には、10.および11.でその旨を定めることになる。
(3) 吸収分割株式会社における手続
① 吸収分割契約の備置きおよび閲覧等(事前開示)
(a) 原則
吸収合併分割株式会社は、吸収分割契約等備置開始日から吸収分割の効力発生日後6か月を経過する日までの間、吸収分割契約の内容その他法務省令(会施規183条)で定める事項を記載し、または記録した書面または電磁的記録をその本店に備え置かなければならない(会社法782条1項)。
吸収分割株式会社の株主および債権者は、その営業時間内はいつでも、上記書類の閲覧等を求めることができる(同条3項)。
なお、吸収合併契約等備置開始日とは、次に掲げる日のいずれか早い日をいう(同条2項)。
1. 吸収分割契約について株主総会(種類株主総会を含む。)の決議によってその承認を受けなければならないときは、当該株主総会の日の2週間前の日(会社法319条1項の場合にあっては、同項の提案があった日) 2. 株主に対する会社法785条3項の規定による通知の日または同条4項の公告の日のいずれか早い日 3. 新株予約権者に対する会社法787条3項の規定による通知の日または同条4項の公告の日のいずれか早い日 4. 債権者保護手続をしなければならないときは、会社法789条2項の規定による公告の日または同項の規定による催告の日のいずれか早い日 5. 1.~4.以外の場合には、吸収分割契約の締結の日から2週間を経過した日 |
(b) 例外
吸収分割会社が合同会社である場合には、この事前開示に関する規定は存在しない。
② 吸収分割契約の承認等
(a) 原則(株主総会特別決議による承認)
吸収分割株式会社は、原則として、吸収分割の効力発生日の前日までに、株主総会の特別決議によって、吸収分割契約の承認を受けなければならない(会社法783条1項)。
* なお、吸収合併についての消滅会社の承認決議のように、株主総会特殊決議や総株主の同意が必要な場合はない!分割対価は、分割会社が取得し、会社分割を機に株主の有する株式が譲渡制限付となったり、持分会社の持分となったりすることがないからである
(b) 例外1.(吸収合併契約の承認を要しない略式手続による吸収分割)
(イ)要件
吸収分割承継会社が吸収分割株式会社の特別支配会社である場合には、吸収分割株式会社における株主総会決議は不要である(会社法784条1項)。特別支配会社とは、ある株式会社の総株主の議決権の10分の9(これを上回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)以上を他の会社および当該他の会社が発行済株式の全部を有する株式会社その他これに準ずるものとして法務省令で定める法人が有している場合における当該他の会社のことである(会社法468条1項、会施規136条)。つまり、吸収分割承継会社が吸収分割株式会社の議決権の90%以上握っている場合である。
(ロ)例外(なし) cf. 略式合併・略式株式交換の場合
合併(交換)対価の一部または全部が譲渡制限株式等である場合であって消滅株式会社(完全子会社)が公開会社でありかつ種類株式発行会社でないとき(つまり合併(交換)を機に譲渡制限株主となってしまう場合)には株主総会特別決議による承認決議を省略できないという例外があった。しかし吸収分割の場合にはこの例外がない。なぜなら対価となる譲渡制限株式を取得するのは吸収分割会社であるから、吸収分割を機に吸収分割会社の株主の株式が譲渡制限付となることはないからである。
(c) 簡易手続による会社分割(簡易吸収分割)
株式会社が吸収分割を行う場合であって、吸収分割により吸収分割承継会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が、吸収分割株式会社の総資産額として法務省令(会施規則187条)で定める方法により算定される額の5分の1(これを下回る割合を吸収分割株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合は、吸収分割株式会社において株主総会の特別決議を経ることを要しない(会社法784条2項)。
cf. 吸収合併の場合には、簡易手続によることができるのは、吸収合併存続会社のみであった点と比較!
(d) 吸収分割会社が合同会社の場合
合同会社が吸収分割をして、その事業に関して有する権利義務の全部を他の会社に承継させる場合は、効力発生日の前日までに、吸収分割契約について当該合同会社の総社員の同意を得なければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合はこの限りではない(会社法793条1項2号)。
(e) 登録株式質権者等への通知
吸収分割株式会社は、吸収分割の効力発生日の20日前までに、一定の登録株式質権者および新株予約権の登録新株予約権質権者に対し、吸収分割をする旨を通知または公告しなければならない(会社法783条5項6項)。
③ 株式の買取請求等
(a) 反対株主の定義
次のいずれかに該当する吸収分割株式会社の株主(反対株主)は、会社に対して、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる(会社法785条1項2項各号)。
(イ)吸収分割をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合においては、当該株主総会で議決権を行使することができる株主であって、株主総会に先立って会社に対し反対の意思を通知し、かつ、株主総会において吸収分割に反対した株主 (ロ)当該株主総会において議決権を行使することができない株主 (ハ)吸収分割をするために株主総会および種類株主総会の決議を要しない場合(会社法784条)は、すべての株主(吸収分割承継会社が吸収分割会社の特別支配会社である場合における当該特別支配会社を除く。) |
ただし、吸収分割により吸収分割承継会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が吸収分割株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1(これを下回る割合を吸収分割株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合にあっては、吸収分割株式会社の株主は、株式買取請求権を有しない(会社法785条1項2号)。
(b) 吸収分割をする旨の通知または公告
吸収分割株式会社は、吸収分割の効力発生日の20日前までに、その株主(吸収分割承継会社が吸収分割会社の特別支配会社である場合における当該特別支配会社を除く。)に対し、吸収分割をする旨ならびに吸収分割承継会社の商号および住所を通知しなければならない(会社法785条3項)。ただし、簡易分割により吸収分割契約について株主総会の承認を要しない場合は、通知は不要である。なお、次に掲げる場合には、通知を公告に代えることができる(会社法785条4項)。
(イ)吸収分割株式会社が公開会社である場合 (ロ)吸収分割株式会社が株主総会の決議によって吸収合併契約の承認を受けた場合 |