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1会社の清算

堀川 寿和2022/01/25 09:20

清算の意義

(1) 清算の意義

 清算とは、会社の法律関係の清算処理をするための手続をいう。具体的には、清算人が現務を結了し、債権を取り立て、債務を弁済し、会社の残余財産を株主に分配する手続である(会社法481条)。つまり、会社財産をプラスもマイナスのゼロにするための手続である。

株式会社は、次に掲げる場合には、清算をしなければならない(会社法475条)。

① 解散した場合(合併および破産手続開始の決定により解散し、当該破産手続が終了していない場合を除く。)

② 設立無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合

③ 株式移転無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合

 

(2) 清算の種類

 会社の清算には、次の種類がある。

 

① 法定清算

 法定清算とは、法定の手続による清算をいう。通常清算と、清算の遂行に著しい支障をきたすべき事情があり、または債務超過の疑いがあるときに裁判所の厳重な監督のもとに行われる特別清算とがある。

特別清算は、株式会社のみに認められる清算方法である。

② 任意清算

 任意清算とは、法定の手続によらずに会社財産を自由に処分できる清算方法をいう。無限責任を負う社員が存在する合名会社と合資会社に認められる清算方法で、株式会社や合同会社においては認められない。

 

 

任意清算

法定清算

通常清算

特別清算

株式会社

×

合名会社

×

合資会社

×

合同会社

×

×

通常清算ー1

(1) 通常清算の意義

 通常清算とは、株式会社の清算方法のうち、特別清算でない通常の清算方法である。

 

(2) 清算株式会社の機関設計

 清算をする株式会社を「清算株式会社」という。清算株式会社は、営業行為を行わないため、解散によって取締役、代表取締役等は退任しその地位を失い、清算人が代わって清算事務を行う。

① 必要的機関

 清算株式会社には、1人または2人以上の清算人を置かなければならない(会社法4771項)。

 また、株主総会は解散後も引き続き存続する必要的な機関である。

 

② 任意的機関

 清算株式会社は、定款の定めによって、清算人会、監査役または監査役会を置くことができる(会社法4772項)。ただ、監資役会を置く旨の定款の定めがある場合には、清算人会を置かなければならない(同条3項)。また、清算開始時において公開会社または大会社であった場合には、監査役を置かなければならない(同条4項)。この場合、清算開始時において監査等委員会設置会社または指名委員会等設置会社であったときは、監査(等)委員が監査役となる(同条56項)。

 なお、清算開始時点で公開会社または大会社であった以上は、清算開始後に株式の譲渡制限に関する規定を設定して公開会社でなくなったり、大会社でなくなったとしても、引き続き監査役を置かなければならない。

 

③ 取締役会、会計参与、会計監査人、監査等委員会および指名委員会の設置不可

 会社法326条から328条の規定は、清算株式会社には適用されない(会社法4777項)ため、清算株式会社には取締役会、会計参与、会計監査人、監査等委員会および指名委員会等を置くことはできない。

 

④ 監査役

(a) 原則

 清算株式会社は、定款の定めによって、監査役および監査役会を置くことができる(会社法4772項)。

 

(b) 設置が強制される場合

 清算の開始原因の発生時に、公開会社または大会社であった清算株式会社は、監査役を置かなければならない(会社法4774項)。なお、清算の開始原因の発生時に、監査等委員会設置会社であり、かつ、公開会社または大会社であったため、監査役を置かなければならない清算株式会社においては、監査等委員である取締役が監査役となる(同条5項)また、清算の開始原因の発生時に、指名委員会等設置会社であり、かつ、公開会社または大会社であったため、監査役を置かなければならない清算株式会社においては、監査委員が監査役となる(同条6項)。

 

(c) 監査役の社外性の要件

 清算の開始原因発生時において、監査等委員会設置会社または指名委員会等設置会社であった清算株式会社である監査役会設置会社においては、監査役は3人以上で、そのうち半数以上は、次に掲げる要件のいずれにも該当するものでなければならない(会社法4787項)。

(イ)その就任の前10年間当該監査等委員会設置会社もしくは指名委員会等設置会社またはその子会社の取締役(社外取締役を除く。)、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員。(ロ)において同じ。)もしくは執行役または支配人その他の使用人であったことがないこと

(ロ)その就任の前10年内のいずれかの時において当該監査等委員会設置会社もしくは指名委員会等設置会社またはその子会社の社外取締後または監査役であったことがある者にあっては、当該社外取締役または監査役への就任の前10年間当該監査等委員会設置会社もしくは指名委員会等設置会社またはその子会社の取締役(社外取締役を除く。)、会計参与もしくは執行役または支配人その他の使用人であったことがないこと

(ハ)当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)または親会社等の取締役、監査役もしくは執行役もしくは支配人その他の使用人でないこと

(ニ)当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社およびその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。

(ホ)当該株式会社の取締役もしくは支配人その他の重要な使用人または親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者または2親等内の親族でないこと。

 

(d) 監査役の任期満了

 清算株式会社の監査役も、清算人と同様に、任期の定めに関する規定の適用はない(会社法4802項による336条の不適用)が、次の定款変更をした場合には、当該定款変更の効力が生じた時に監査役は退任する(会社法4801項)。

① 監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更

監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更

 

(3) 清算人

① 清算人の選任等

 誰が清算人になるのかについては、清算の開始原因によって異なる。

(a) 合併、破産手続開始の決定および解散を命ずるに裁判によって解散した場合以外

(イ) 定款に定めがあるときは、定款で定めた者(会社法47812号)

(ロ) 株主総会で清算人を選任したときは、その者(同3号)。

 この場合の選任決議においては、その定足数を定款をもって総株主の議決権の3分の1未満に下すことができる(会社法491条による341条の不準用)。また、累積投票は認められていない(会社法491条による342条の不準用)。

(ハ) 上記(イ)(ロ)により清算人となる者がないときは、解散時の取締役(会社法47811号)法定清算人

 清算の開始原因の発生時に、監査等委員会設置会社であった清算株式会社においては、監査等委員である取締役以外の取締役が清算人となる(会社法4785項)。また、清算の開始原因の発生時に、指名委員会等設置会社であった清算株式会社においては、監査委員以外の取締役が清算人となる(会社法4786項)。

(ニ) 上記(イ)~(ハ)により清算人となる者がないときは、利害関係人の申立てにより裁判所に選任された者(会社法4782項)

 

(b) 合併による解散の場合

 合併による解散の場合、消滅した会社の権利義務は、吸収合併存続会社または新設合併設立会社に包括的に承継されるため、清算手続を行うことを要しない(会社法4751号)。したがって、清算人を選任する必要はない。

 

(c) 会社が破産手続開始の決定を受けた場合

 会社が破産手続開始の決定を受けた場合は、破産手続によることになるため、清算手続は行われない(会社法4751号)。この場合の会社財産の分配等は、清算人ではなく破産管財人により行われる。

 

(d) 解散命令または解散判決により解散した場合

 解散命令または解散判決により株式会社が解散した場合、裁判所は利害関係人もしくは法務大臣の申立てによりまたは職権で、清算人を選任する(会社法4783項)。

 

(e) 設立無効の訴えまたは株式移転無効の訴えの請求認容判決が確定した場合

 設立無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合または株式移転の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合は、裁判所は、利害関係人の申立てにより清算人を選任する(会社法4784項)。

 

② 清算人の資格

 清算人の欠格事由に該当する者は、清算人となることはできない(会社法4788項、3311項)。

(イ)法令による制限(会社法4788項、3311項)

 取締役の欠格事由と同様である。次に掲げる者は、清算人になることができない。

1. 法人

2. 会社法もしくは一般社団法人および一般財団法人に関する法律の規定に違反し、または次の法律で会社法33113号に規定された罪を犯し刑に処せられ、その執行を終わり、またはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者

ⅰ)金融商品取引法

ⅱ)民事再生法

ⅲ)外国倒産処理手続の承認援助に関する法律

ⅳ)会社更生法

ⅴ)破産法

3. 2.の法律の規定以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでまたはその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)

なお、成年被後見人または被保佐人は、清算人になることができる(会社法4788項、331条の21項・2項)。ただし、成年被後見人が清算人に就任するには、その成年後見人が、成年被後見人の同意(後見監督人がある場合にあっては、成年被後見人および後見監督人の同意)を得た上で、成年被後見人に代わって就任の承諾をしなければならず、被保佐人が清算人に就任するには、その保佐人の同意を得なければならない(会社法4788項、331条の21項・2項)。

(ロ)定款規定による制限がある場合(ex. 清算人は、株主に限る等)。なお、清算人については、公開会社であっても、その資格を株主に限定することができる(会社法4788項は3312項を不準用)。

(ハ)兼任禁止

 解散前の取締役と同様に、監査役との兼任禁止規定が働き(会社法491条、3352項)、清算株式会社の監査役は、その会社またはその子会社の清算人を兼任することができない。

 

③ 清算人の人数

 清算株式会社には、1人または2人以上の清算人を置かなければならない(会社法4771項)

 清算人会設置会社においては、清算人は3人以上置かなければならない(会社法4788項、3315項)。また、法令または定款に規定する清算人の最低員数が欠けた場合、任期満了または辞任により退任した清算人は、清算人の権利義務を有する(会社法4794項、3461項)。

 

④ 清算人の任期

 清算人の任期については会社法上特に定めがないため、清算結了まで在任する。ただ、定款または株主総会決議で任期の定めを定めることは可能である。

 

⑤ 清算人の退任

 清算人は、次の事由によって退任する。

1. 辞任

2. 解任

(イ)株主総会による解任

 清算人は、裁判所の選任した者を除き、いつでも正当事由がなくとも株主総会の普通決議で解任することができる(会社法4791項)。

(ロ)少数株主による解任請求

 重要な事由があるときは、裁判所は、次に掲げる株主の申立てにより、清算人を解任することができる(会社法4792項)。なお、公開会社でない清算株式会社においては保有期間に関する制限はない(同条3項)。

ⅰ)総株主の議決権の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を6か月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主

 ただし、清算人を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主、または当該申立てに係る清算人である株主は議決権の数に含めず、申立てをすることもできない。

ⅱ)発行済株式の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を6か月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主

3. 死亡

4. 欠格事由に該当

5. 定款で定めた事由の発生

 

⑥ 清算人の職務

(a) 主要な清算事務

 清算人は、次に掲げる事務を行う(会社法481条)。

(イ)現務の結了(1号)

(ロ)債権の取立ておよび債務の弁済(2号)

(ハ)残余財産の分配(3号)

(b) 付随的清算事務

(イ)財産目録および貸借対照表の作成(会社法492条)

(ロ)貸借対照表および事務報告の定時株主総会への提出

 清算中の株式会社は、各清算事務年度に係る貸借対照表および事務報告ならびにこれらの附属明細書を作成しなければならない。しかし各清算事務年度に係る貸借対照表および附属明細書について会計監査人の監査を受ける必要はない。清算会社に会計監査人は存在しないからである。

(c) 業務の執行

 清算人は、清算株式会社(清算人会設置会社を除く。)の業務を執行し、清算人が2人以上ある場合には、清算株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、清算人の過半数をもって決定する(会社法48212項)。

 なお、清算人は、次に掲げる事項についての決定を各清算人に委任することができない(会社法4823項)。

1. 支配人の選任および解任

2. 支店の設置、移転および廃止

3. 株主総会および種類株主総会招集の際の決定事項の決定

4. 清算人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制その他清算株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令(会施規140条)で定める体制の整備(いわゆる内部統制システム)

 

通常清算ー2

(d) 会社債権者への公告および催告

 清算株式会社は清算の開始原因が生じた後、遅滞なく、債権者に対して2か月を下らない一定の期間内に債権を申し出る旨を官報に公告し、かつ知れている債権者に各別にこれを催告しなければならない(会社法4991項)。公告には、債権者が期間内に申し出をしないときは、清算から除斥される旨を付記しなければならない(同条2項)。なお、この公告および催告については、ダブル公告による各別の催告の省略をすることはできない。

 

(e) 債務の弁済

(イ)原則

 清算人は会社債権者に対する催告期間満了後、債権者に対し弁済する(会社法5001項)。一部の債権者のみへの弁済を禁じ、債権者間の公平を図るためである。催告期間満了前は、たとえ弁済期が到来していても弁済できないのが原則である。

(ロ)例外

ⅰ)裁判所の許可による弁済

 少額債権、担保のある債権、弁済しても他の債権者を害するおそれのない債権については、清算人全員の同意により、裁判所の許可を得て、債権申出期間内でも弁済することができる(会社法5002項)。

ⅱ)条件付債権等に係る債務の弁済

 条件付債権、存続期間の不確定な債権、その他額の不確定な債権に係る債務を弁済できる。

 この場合は、債権の評価のため、裁判所に、鑑定人の選任の申立てをし、鑑定人の評価に従い債務を弁済しなければならない(会社法50112項)。

 

(f) 残余財産の分配

 清算株式会社が会社債務を弁済してなお残る財産(残余財産)があるときは、これを株主に対して分配する〔残余財産の分配〕(会社法504条)。

 清算株式会社は、株主から自己株式を有償取得することができず、また、その株主に対して、剰余金の配当することができない(会社法50911号・2号)。つまり、残余財産の分配以外の方法によって株主への分配をすることができない。

 

⑦ 清算人の登記

 清算株式会社の清算人の選任または退任があった場合には、その本店の所在地において、登記を申請することを要する(会社法9284項、9151項)。

 

(4) 代表清算人

① 清算株式会社の代表

(a) 清算人会設置会社でない株式会社

 清算人会設置会社でない清算株式会社では、原則として清算人が清算株式会社を代表する(会社法48312項)。ただ、定款、定款の定めに基づく清算人(裁判所が選任したものを除く。)の互選または株主総会の決議によって、清算人の中から代表清算人を定めることができる(同条3項)。なお、法定清算人が清算人となる場合において、代表取締役を定めていたときは、その代表取締役が代表清算人となる(同条4項)。また、裁判所が清算人を選任する場合には、その清算人の中から代表清算人を定めることができる(同条5項)。

(b) 清算人会設置会社である株式会社

 清算人会設置会社においては、清算人会は、清算人の中から代表清算人を選定しなければならない。ただし、取締役が清算人となる場合において、代表取締役を定めていた場合(つまり法定代表清算人の場合)および裁判所による代表清算人選定の場合は、この限りでない(会社法4893項)。

 

② 代表清算人の職務

 代表清算人は、清算事務に関し、一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有し、これに制限を加えても善意の第三者に対抗することができない(会社法4836項、34945項)。

 

(5) 清算人会

① 清算人会の設置

 清算株式会社は定款の定めにより、清算人会を置くことができ、また、監査役会を置く旨の定款の定めがある清算株式会社は、清算人会を置かなければならない(会社法47723項)。

 なお、解散前に定款で取締役会を置く旨の定款の定めがあったとしても、当該定めは清算株式会社には当然に適用しないため、取締役会設置会社が解散し、清算人会を置こうとする場合は、別途清算人会を置く旨の定款の定めを設けなければならない(同条7項)。

 

② 清算人会の職務

 清算人会設置会社においては、清算人が3人以上必要であり、すべての清算人で清算人会が組織される(会社法4891項)。

 清算人会は、次に掲げる職務を行う(会社法4892項)。

1. 清算人会設置会社の業務執行の決定

2. 清算人の職務の執行の監督

3. 代表清算人の選定および解職

 清算人会選定の代表清算人および解散当時の代表取締役が代表清算人になった場合については、清算人会の決議により解職することができるが裁判所が代表清算人を定めたときは、清算人会が代表清算人を選定し、または解職をすることができない(同条5項)。

 

③ 清算人会設置会社の業務の執行

 次に掲げる清算人は、清算人会設置会社の業務を執行する(会社法4897項)。

(a) 代表清算人

(b) 代表清算人以外の清算人であって、清算人会の決議によって清算人会設置会社の業務を執行する清算人として選定された者

 

④ 清算人に委任することができない事項

 清算人会は、次に掲げる事項その他重要な業務執行の決定を清算人に委任することができない(会社法4896項)。

1. 重要な財産の処分および譲受け

2. 多額の借財

3. 支配人その他の重要な使用人の選任および解任

4. 支店その他の重要な組織の設置、変更および廃止

5. 会社法6761号に掲げられている事項その他社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令(会施規141条)で定める事項

6. 清算人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制その他清算株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令(会施規142条)で定める体制の整備

 

⑤ 取締役会の規定の準用

 次に掲げる取締役会についての規定は、清算人会に準用される(会社法490456項)。

1. 株主による招集の規定(会社法367条)

2. 取締役会の招集手続の規定(会社法368条)

3. 取締役会の決議要件、議事録の作成に関する規定(会社法369条)

4. 取締役会の決議の省略に関する規定(会社法370条)

5. 議事録の備置き、閲覧等に関する規定(会社法371条)

6. 取締役会への報告の省略に関する規定(会社法3721項・2項)

 

(6) 清算結了

① 決算報告の作成と承認

 清算事務が終了したときは、清算株式会社は、遅滞なく、法務省令(会施規150条)で定めるところにより決算報告を作成し、清算人会設置会社においては、清算人会の承認を受けなければならない(会社法50712項)。そして、当該決算報告を株主総会に提出して、承認がされると清算手続はすべて終了し、会社法の法人格が消滅する。

 

② 株式会社の清算結了の登記

 清算が結了したときは、決算報告が株主総会で承認された日から2週間以内に、その本店所在地において清算結了の登記をしなければならない(会社法9291号)。

 

③ 帳簿資料の保存

 清算人(清算人会設置会社にあっては、会社法4897項各号に定められている清算人会設置会社の業務を執行する清算人)は、清算株式会社の本店の所在地における清算結了の登記の時から10年間、清算株式会社の帳簿ならびにその事業および清算に関する重要な資料を保存しなければならない(会社法5081項)。

 この場合、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人に代わって帳簿資料を保存する者を選任することができる(同条2項)。