- 会社法ー2.株式会社
- 5.募集株式の発行と自己株式の処分(募集株式の発行等)
- 募集株式の発行と自己株式の処分(募集株式の発行等)
- Sec.1
1募集株式の発行と自己株式の処分(募集株式の発行等)
■意義
募集株式とは、新たに発行する株式または処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとする時において、当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式のことをいい、募集株式の発行等というのは、新たに株式を発行する場合と、会社が有する自己株式を処分する場合の両方を含む概念である。
新たな株式の発行と自己株式の処分は、株式の引受人を募集し、引受人から金銭等の払込みを受けてその者は株式を取得するという点で共通している。そのため会社法は、新たに株式を発行する場合と、自己株式を処分する場合の手続を一体化して規定している(会社法199条1項)。
いずれの場合も、会社成立後の資金調達を主な目的としている。
■募集株式の発行等の手続ー1
(1) 募集株式の発行等の方法
募集株式の発行等には、大きく分けて次の区分がある。
株主割当て |
既存の株主の持株比率に応じて募集株式を割り当てる方法である。 |
株主割当て以外 (第三者割当) |
既存の株主であるか否かを問わず、募集株式を割り当てる方法である。 広く一般から出資を募る場合(公募)と、一部の限られた範囲から募集する場合(縁故募集)がある。 |
【株主割当ての例】
10株につき1株割り当てる
|
株主A |
株主B |
株主C |
株主D |
募集株式発行前 |
40株 |
30株 |
20株 |
10株 |
募集株式発行後 |
44株 |
33株 |
22株 |
11株 |
→ 募集株式の発行前後で株主の持株比率は変わらない
(2) 募集事項の決定機関
株式会社は、その発行する株式またはその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式について募集事項を定めなければならない(会社法199条1項)。
募集事項を決定する機関は、以下の通りである。
① 株主割当て以外(第三者割当)
(a) 公開会社の場合
(イ)原則
公開会社が募集株式の発行等を行う場合において、募集事項を決定するのは、原則として取締役会である(会社法201条1項、199条2項)。取締役会に発行権限を与えることにより、資金調達をより機動的にかつ効率よく行うことができるようにするためである。
(ロ)例外
公開会社であっても、募集株式の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合は、募集事項の決定は株主総会の特別決議によらなければならない(会社法199条2項、201条1項、309条2項5号)。
この有利発行に該当するときであっても、株主総会の特別決議により募集事項の決定を取締役会に委任することもでき(会社法200条1項、309条2項5号)、この場合においては、その委任に基づいて募集事項の決定をすることができる募集株式の数の上限および払込金額の下限を定めなければならない(会社法200条1項)。
払込金額の下限が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、募集事項の決定の(委任)決議をする株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない(会社法199条3項、200条2項)。
この委任決議は、払込期日(払込期間を定めた場合にあっては、払込期間の末日)が当該決議の日から1年以内の日である募集についてのみその効力を有する(会社法200条3項)。
(b) 非公開会社の場合
(イ)原則
非公開会社が募集株式の発行等を行う場合において、募集事項を決定するには、株主総会の特別決議が必要である(会社法199条1項2項、309条2項5号)。
(ロ)例外
非公開会社であっても、株主総会の特別決議により、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社にあっては取締役会)に委任することができる(会社法200条1項、309条2項5号)。この場合においては、その委任に基づいて募集事項の決定をすることができる募集株式の数の上限および払込金額の下限を定めなければならない(会社法200条1項)。
(c) 譲渡制限株式を第三者割当する場合の種類株主総会
(イ)種類株式発行会社においては、公開会社か否かを問わず、譲渡制限株式を募集株式とするときは、種類株主総会決議を不要とする定款の定めがある場合を除き、当該種類の種類株主を構成員とする種類株主総会の特別決議がなければ、募集事項を決定する決議は効力を生じない(会社法199条4項、324条2項2号)。
(ロ)また、募集株式が譲渡制限株式である場合において、種類株式発行会社が募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に委任するためには、種類株主総会決議を不要とする定款の定めがある場合を除き、当該種類の種類株主を構成員とする種類株主総会の特別決議がなければ、募集事項の決定の委任の決議は効力を生じない(会社法200条4項、324条2項2号)。
② 株主割当の場合
(a) 公開会社の場合
取締役会決議による(会社法202条1項、3項3号)。
なお、株主割当の方法により募集株式の発行等を行う場合においては、有利発行か否かで募集事項の決定機関は異ならない。株主割当の方法によって有利発行を行うのであれば、特に株主の利益を害することはないためである。
(b) 非公開会社の場合
(イ)原則
非公開会社においては、原則として、株主総会の特別決議による(会社法202条3項4号、309条2項5号)。
(ロ)例外
取締役の決定(取締役会設置会社においては取締役会の決議)による旨が定款に定められている場合は、当該定款の規定に従って決定する(会社法202条3項1号、2号)。
(c) ある種類の種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合の種類株主総会
(イ)原則
公開会社か否かを問わず、株主割当の方法により募集株式の発行等を行う場合において、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該募集株式の発行等は、当該種類株式を有する種類株主を構成員とする種類株主総会の特別決議がなければ、その効力を生じない(会社法322条1項4号、324条2項4号)。
(ロ)例外
ただし、定款に上記の種類株主総会を不要とする旨が定められている場合は、当該種類株主総会を開催する必要はない(会社法322条2項)。
募集株式の発行における募集事項の決定機関 まとめ
公開会社の場合
株主割当 以外 (注4) |
原則 |
取締役会の決議(会社法201条1項、199条2項) |
|
有利発行 (注1) |
原則 |
株主総会の特別決議(会社法201条1項、199条2項) |
|
例外 |
株主総会の特別決議により募集事項の決定を取締役会に委任可能 (会社法200条1項)(注2・3) |
||
株主割当 (注5) |
取締役会の決議(会社法202条3項3号) |
非公開会社の場合
株主割当以外 (注4) |
原則 |
株主総会の特別決議(会社法199条2項) |
例外 |
株主総会の特別決議により募集事項の決定を取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に委任可能(会社法200条1項) (注2・3) |
|
株主割当 (注5) |
原則 |
株主総会の特別決議(会社法202条3項4号) |
例外 |
定款に定めることにより、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)により定めることも可能(会社法202条3項1号2号) |
(注1)取締役は募集事項の決定をする株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすること
を必要とする理由を説明しなければならない(会社法199条3項、200条2項)。
(注2)委任に基づいて募集事項の決定をすることができる募集株式の数の上限および払込金額の下限を定めなければならない。なお、払込金額の下限が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は募集事項の決定の委任決議をする株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
(注3)この委任決議は払込期日(払込期間を定めた場合にあっては、払込期間の末日)が当該決議の日から1年以内の日である募集についてのみその効力を有する。
(注4)種類株式発行会社において、募集株式が譲渡制限株式である場合、定款に種類株主総会決議を不要とする規定がある場合を除き、当該種類株主総会の特別決議がなければ、募集事項を決定する決議の効力を生じない。
(注5)募集株式の発行がある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、定款に別段の定めがある場合を除き、当該種類株主総会特別決議がなければ、募集株式の発行の効力は生じない。
(3) 募集事項の決定
公開会社か否かを問わず、募集株式の発行等を行う際には、その都度、募集株式について次に掲げる事項を定めなければならない(会社法199条1項各号)。なお、募集事項は、募集ごとに、均等に定めることを要する(会社法199条5項)。
① 株主割当と株主割当て以外の共通の募集事項
(a) 募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類および数)
新たに株式を発行する場合、その募集株式の数は発行可能株式総数の範囲内であることを要する。
(b) 募集株式の払込金額またはその算定方法
なお、公開会社が取締役会決議によって募集事項を決定する場合において、市場価格ある株式を引き受ける者の募集をするときは、公正な価額による払込みを実現するために適当な払込金額の決定の方法を定めれば、具体的な払込金額を取締役会決議で定める必要はない(会社法201条2項)。
(c) 金銭以外の財産を出資の目的とする場合は、その旨ならびに当該財産の内容および価額
現物出資により払込みをする場合、その旨ならびに現物出資財産の内容および価額を定めなければならない。設立の際に現物出資を行う場合は、定款にその旨を記載する必要があったが、募集株式の発行の場合においては、定款に定める必要はなく、現物出資者の資格についても制限はない。
(d) 募集株式と引換えにする金銭の払込みまたは現物出資の財産の給付の期日またはその期間
払込期日または給付期日を定めると払込みまたは給付をした募集株式の引受人は、その日に株主となり、払込期間または給付期間を定めるとその期間中に払込みまたは給付をした募集株式の引受人は、その払込みまたは給付を行った日にそれぞれ募集株式の株主となる(会社法209条1項各号)。
(e) 株式を発行するときは、増加する資本金および資本準備金に関する事項
払込みまたは給付された財産の額の全額を資本金として計上するのが原則であるが、払込みまたは給付に係る額の2分の1を超えない額は、資本金として計上しないことができる(会社法445条2項)。資本金として計上しないとした額は、資本準備金として計上しなければならない(会社法445条3項)ため、それぞれの額を募集事項で決定する。
■募集株式の発行等の手続ー2
② 株主割当における決定事項
株主割当の方法により募集株式の発行等を行う場合には、上記の(a)から(e)の募集事項のほか、次に掲げる事項を定めなければならない(会社法202条1項各号)。
(a) 株主に対し、募集株式の引受けの申込みをすることにより、当該株式会社の募集株式(種類株式発行会社にあっては、当該株主の有する種類の株式と同一の種類のもの)の割当てを受ける権利を与える旨
(b) (a)の引受けの申込みの期日
③ 取締役の報酬等である募集株式に関する募集事項の決定の特則
金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社は、定款または株主総会の決議(指名委員会等設置会社においては報酬委員会の決定)に従い、取締役(指名委員会等設置会社においては執行役または取締役)の報酬等としてその発行する株式またはその処分する自己株式を引き受ける者の募集をするときは、「払込金額またはその算定方法」および「払込期日または払込期間」〔上記①(b)および(d)の事項〕を定めることを要しない(会社法202条の2第1項前段)。
この場合、当該株式会社は、募集株式について次の事項を定めなければならない(同項後段)。
(a) 取締役(指名委員会等設置会社においては執行役または取締役)の報酬等として当該募集に係る株式の発行または自己株式の処分をするものであり、募集株式と引換えにする金銭の払込みまたは上記①(c)の財産の給付を要しない旨 (b) 募集株式を割り当てる日(以下「割当日」という。) |
この定めがある場合には、募集株式の引受人は、出資を履行することなく、割当日に、その引き受けた募集株式の株主となる(会社法209条4項)。なお、報酬等として募集株式を付与された取締役または執行役(取締役または執行役であった者を含む。)以外の者は、募集株式の申込みをし、または総数引受契約を締結することができない(会社法205条3項)。
(4) 募集事項の通知・公告
① 株主割当て以外(第三者割当)の場合
公開会社が取締役会の決議によって募集事項を定めたときは、払込期日(払込みの期間を定めた場合には、その期間の初日)の2週間前までに、当該募集事項を、株主に通知または公告しなければならない(会社法201条3項4項)。株主の出席できない取締役会の決議によって募集事項が決定されるため、後日株主に募集事項の内容を知らせることによって、後述する株主による募集株式の発行等の差止請求権を行使する機会を与えるためである。したがって次の場合には、この規定による募集事項の通知または公告を要しない。
1. 非公開会社の場合
2. 株主割当てによる場合
3. 公開会社であっても、有利発行により募集株式の募集を行う場合
4. 一定の期日までに金融商品取引法所定の届出をしている場合、その他法務省令で定める場合
② 株主割当の場合
株主割当の方法により募集株式の発行等を行う場合には、株主に引受けの申込みの機会を保障するため、引受けの申込みの期日の2週間前までに、割当てを受ける権利を有する株主(当該株式会社を除く。)に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない(会社法202条4項)。
1. 募集事項
2. 当該株主が割当てを受ける募集株式の数
3. 募集株式の引受けの申込みの期日
なお、株主割当の方法により募集株式の発行等をする場合において、株式の割当てを受ける権利を有する者が、引受けの申込みの期日までに申込みをしないときは、募集株式の割当てを受ける権利を当然に失う(会社法204条4項)。
通知・公告の比較
|
株主割当以外(第三者割当) |
株主割当 |
通知または公告の種類 |
募集事項の通知または公告 |
募集事項等の通知 |
通知の目的 |
募集株式の発行等の差止請求 権の行使の機会の確保 |
申込の機会の確保 |
通知を要する場合 |
1. 公開会社が 2. 取締役会決議によって、 募集事項を定めたとき |
常に必要 |
通知すべき事項 |
募集事項 |
1. 募集事項 2. 当該株主が割当てを受ける募集株式の数 3. 募集株式の引受けの申込みの期日 |
通知の時期 |
払込期日(払込期間を定めた場合にあっては、払込期間の初日)の2週間前まで |
申込期日の2週間前まで |
(5) 募集株式の申込み
① 申込者への通知
株式会社は、募集に応じて募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない(会社法203条1項)。株主割当ての場合には、会社法202条4項の通知と同時に行うことになる。
1. 株式会社の商号
2. 募集事項
3. 金銭出資の払込みをすべきときは、払込みの取扱いの場所
4. その他法務省令(会施規41条)で定める事項(*1)
なお、この通知は、金融商品取引法2条10項に規定する目論見書を引受けの申込みをしようとしている者に交付している場合その他募集株式の引受けの申込みをしようとする者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には不要である(会社法203条4項、会施規42条)。
(*1)法務省令に定める事項には、発行可能株式総数、発行する全部の株式の内容を定めているときは当該株式の内容(会社法107条2項各号)、種類株式を発行することとしているときは、各種類の株式の内容(会社法108条2項各号)、単元株式数などがある(会施規41条)。
② 引受けの申込み
募集に応じて募集株式の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を株式会社に交付し、または、株式会社の承諾を得て、次に掲げる事項を電磁的方法により提供しなければならない(会社法203条2項3項)。
1. 申込みをする者の氏名または名称および住所
2. 引き受けようとする募集株式の数
(6) 募集株式の割当て(株主割当以外の場合のみ)
株式会社は、申込者の中から募集株式の割当を受ける者を定め、かつその者に割り当てる募集株式の数を定めなければならない。この場合において、株式会社は、当該申込者に割り当てる募集株式の数を、上記②2.の数よりも減少することができる(会社法204条1項 割当自由の原則)。
なお、募集株式が譲渡制限株式である場合には、この決定は、株主総会の特別決議(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によらなければならない(会社法204条2項、309条2項5号)。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない(会社法204条2項ただし書)。
(7) 総数引受契約(株主割当以外の場合のみ)
募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、上記(4)の通知、(5)の申込み、(6)の割当ての手続はいずれも不要となる(会社法205条1項)。しかし、募集株式が譲渡制限株式であるときは、株式会社は、株主総会の特別決議(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、当該契約の承認を受けなければならない(会社法205条2項、309条2項5号)。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない(会社法205条2項ただし書)。
(8) 現物出資の調査
① 募集事項での定め
募集株式の発行等を行う場合において、金銭以外の財産を出資の目的とすることができる。設立の場合とは異なり、定款に定める必要はなく、現物出資をする旨は募集事項の一つである(会社法199条1項3号)。
② 現物出資者の資格
設立の際と異なり、現物出資者の資格についても制限はない。
③ 検査役の調査
株式会社は、募集株式の発行等の際に、金銭以外の財産を出資の目的とすることを定めた場合、募集事項の決定後遅滞なく、現物出資財産の価額を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない(会社法207条1項)。
裁判所により選任された検査役は、必要な調査を行い、裁判所に結果を報告する(会社法207条4項)。報告を受けた裁判所は、募集事項に定められた現物出資財産の価額が不当であると判断した場合は、これを変更する決定をしなければならない(会社法207条7項)。
④ 引受けの取消し
裁判所により現物出資財産の価額の全部または一部が取り消された場合には、現物出資財産を給付する募集株式の引受人は、当該決定の確定後1週間以内に限り、その募集株式の引受けの申込みまたは募集株式の総数の引受契約に係る意思表示を取り消すことができる(会社法207条8項)。
⑤ 検査役の調査が不要となる場合
(a) 少数株式による例外
募集株式の引受人に割り当てる株式の総数が発行済株式の総数の10分の1を超えない場合(会社法207条9項1号)現物出資者が複数ある場合には、その合計数で判断される。
(b) 少額財産による例外
現物出資財産について定められた価額の総額が500万円を超えない場合(会社法207条9項2号)現物出資が複数ある場合には、その合計額で判断する。
(c) 市場価格のある有価証券による特例
現物出資財産のうち、市場価格のある有価証券について定められた価額が当該有価証券の市場価格を超えない場合(会社法207条9項3号)である。
(d) 価格の相当性につき証明のある現物出資
募集事項の決定で定められた現物出資財産の価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人の証明(現物出資財産が不動産である場合にあっては、当該証明および不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合、検査役の調査は不要となる(会社法207条9項4号)。
ただし、次の者はこの証明および鑑定評価をすることができない(会社法207条10項)。
(イ)取締役、会計参与、監査役もしくは執行役または支配人その他の使用人 (ロ)募集株式の引受人 (ハ)業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者 (ニ)弁護士法人、監査法人または税理士法人であって、その社員の半数以上が(イ)または(ロ)に掲げる者のいずれかに該当するもの |
(e) 金銭債権の特則
現物出資財産が株式会社に対する金銭債権(弁済期が到来しているものに限る。)であって、当該金銭債権について定められた募集事項の価額が当該金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えない場合である。