• 不動産登記法ー13.総論
  • 10.代位による登記
  • 代位による登記
  • Sec.1

1代位による登記

堀川 寿和2022/01/19 10:20

意義

 債権者代位による登記とは、債権者が自己の債権を保全するために、民法423条の規定に基づいて、債務者の有している登記申請権を代位行使して、自己の名をもって債務者のために登記を申請することである。

 Aが所有する甲土地をBに売り渡す契約がされたが、その登記をしないうちにBは甲土地をCに売り渡した場合、BからCへの所有権移転登記をするには、まず前提としてAからBへの所有権移転登記がなされないければならない。しかし、BがAからBへの所有権移転登記をしようとしないような場合には、CはBに代位して、Aと共同してAからBへの所有権の移転の登記を申請することができる。CはBに対して所有権移転登記請求権という債権を有しているため、債権者Cが債務者Bに代位できるわけである。もし仮にAがさらに登記に応じようとしなければ、CがAに対して登記請求訴訟を提起し、判決によってAからBへの所有権移転登記を単独申請によってすることになる。



CがBに代位して、AからBへの所有権移転登記を代位で申請する場合(Aとの共同申請)

(*1) A・B間の売買契約の日付を原因日付として記載する。

(*2) B・C間の売買契約の日付を原因日付として記載する。


代位申請権の代位

 代位の代位登記も認められる。(最S 39. 4.17)例えば甲土地の所有権がA⇒B⇒C⇒Dと順次移転したが、登記名義がA名義のままである場合、DはCがBに代位してAからBへの所有権の移転の登記を申請することができる権利をさらに代位して、AとともにAからBへの所有権の移転の登記を申請することができる。

債権保全の必要性

 債権者代位による登記は、債権者の債務者に対する債権を保全するために認められるものであるため、保全の範囲を超えてしまうような代位申請は認められない。

 登記権利者が登記義務者に代位して単独で登記申請することはできない。これを認めると、共同申請主義という大原則が骨抜きになるからである。



cf

先例(S24.2.25民甲389号)
A所有の不動産をBが買い受けたが,買主Bが所有権の移転の登記の申請に協力しない場合、Aが当該売買代金債権とは別にBに対して債権を有しているときは、その債権を保全するため、Bに代位してAからBへの所有権の移転の登記の申請をすることができる。