- 不動産登記法ー12.区分建物に関する登記
- 3.専有部分又は敷地権のみを目的とする場合の登記手続き
- 専有部分又は敷地権のみを目的とする場合の登記手続き
- Sec.1
1専有部分又は敷地権のみを目的とする場合の登記手続き
■専有部分又は敷地権のみを目的とする場合の登記手続き
敷地権付区分建物についての所有権や担保権に関する登記は、敷地権の表示を登記した建物の登記記録に登記され、それにより敷地権についても同一内容の登記がなされたのと同様の効力が生ずるのが原則である。しかし、前述のとおり、敷地権の表示の登記後でも、例外的に建物のみ又は敷地のみを目的とする登記ができる場合があり、この場合の登記手続きが問題となる。
(1) 建物のみを目的とする登記
① 敷地権が生じる前にされた建物だけを目的とする所有権に関する仮登記、仮処分、担保権実行としての差押登記は、建物の登記記録中の甲区に「建物のみに関する」旨を付記して登記される。(不登規156条)
(建物の登記記録)
② 敷地権が生じる前の建物のみを目的とする抵当権、質権の設定登記は、建物の登記記録中乙区に「建物のみに関する」旨を付記して登記される。
(建物の登記記録)
なお、賃借権が敷地権である場合において、その敷地権の表示を登記した区分建物についての抵当権設定の登記を申請するときは、「建物のみに関する」付記登記はされない。もともと賃借権の上に抵当権は設定できず、建物のみに抵当権が設定されていることは、明白だからである。
(2) 土地だけを目的とする登記
敷地権が生ずる前にされた土地の所有権に関する仮登記、仮処分、担保権実行としての差押登記は土地の登記中甲区に、敷地権の生じる前にされた担保権設定や用益権の登記は土地の登記記録中乙区に登記される。
しかし土地の場合は、建物の場合と異なり「土地のみに関する」旨の付記はされない。土地の登記の効力が建物に及ぶことはないからである。