- 権利関係ー7.相続
- 1.相続総論
- 相続総論
- Sec.1
1相続総論
人が死亡することにより、「相続」が開始する。死亡した者の財産(権利・義務)は遺言があれば遺言に従って一定の者が引き継ぐことになるが、遺言がなければ民法の規定に従って一定の者が引き継ぐことになる。最近では相続がらみの不動産取引が増えてきたため、宅建取引士としても、相続が発生した場合、「誰が相続人になるのか」「相続する割合はどのくらいか」「その手続きはどうするのか」などといったことを的確にアドバイスできる知識が要求される。 |
学習のポイント
1. 相続人と法定相続分を覚える。
2. 相続の手続きを覚える。
3. 遺言の手続きを覚える。
4. 遺留分について理解する。
■相続
相続とは、亡くなった人(被相続人)の財産を相続人が承継することである。
相続人は、相続開始の時(被相続人の死亡の時)から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。したがって、承継される財産は、預貯金や不動産などの積極財産だけでなく、借金などの債務(消極財産)も含まれる。
相続人が数人あるときを共同相続という。共同相続の場合は、相続財産は、共同相続人の共有に属する。各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
■相続人と相続順位
法定相続人には相続順位があり、先順位の者がいれば後順位の者は相続人になることができない。
相続人は、配偶者と配偶者以外の相続人に分けることができ、配偶者と配偶者以外の相続人は同順位で、同時に相続人になることができる。したがって、配偶者は常に相続人になることができる。それに対して、配偶者以外の相続人には①子、②直系尊属、③兄弟姉妹の順に相続人になることができる。
(1) 配偶者
・ 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。
・ 配偶者は、他に相続人がいないときは一人で、他に相続人がいるときは、その相続人と共同して相続人となる。
・ 内縁関係にある者は含まれない。
(2) 第一順位 子
・ 嫡出子、非嫡出子ともに相続人となる。
・ 養子は、嫡出子として相続人となる。 ・ 胎児は、相続人となることができる。 |
※ 嫡出子=法律上の婚姻関係にある夫婦間に生まれた子供のこと
※ 非嫡出子=法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子供のこと
(3) 第二順位 直系尊属
・ 被相続人の直系尊属は、被相続人の子がいないときに限り、相続人となる。
・ 親等の異なる者の間では、被相続人に近い者を先にする。
(4) 第三順位 兄弟姉妹
・ 被相続人の兄弟姉妹は、被相続人の子も直系尊属もいないときに限り、相続人となる。