- 不動産登記法ー8.仮登記
- 6.担保仮登記
- 担保仮登記
- Sec.1
1担保仮登記
■担保仮登記の意義
(1) 担保仮登記
仮登記担保とは、金銭債権を担保するため、その不履行があるときは債権者に債務者又は第三者(物上保証人)に属する所有権を移転することを目的として代物弁済予約、停止条件付代物弁済契約などを原因とする仮登記をなしておく担保方法をいう。仮登記担保権者は、債務不履行があると仮登記を本登記に直して権利を取得し、代物弁済を受けることによって自己の債権を保全することができる。
具体的には、
・「年月日代物弁済予約」を登記原因とした所有権移転請求権仮登記
・「年月日代物弁済(条件 年月日金銭消費貸借の債務不履行)」を原因とした停止条件付所有権移転仮登記
が考えられる。これらの場合も所有権移転(請求権)仮登記であるが、実質は金銭債権を担保するものであるため、通常の仮登記とは異なった扱いがされる。よって仮登記担保法が適用されるのは、金銭債務を担保する場合に限られる。
(2) 清算義務
債務者が債務を弁済できなかったときは、仮登記担保権者は目的物の所有権を確定的に取得することができるが、被担保債権の額よりも目的物の価額が大きい場合には、その差額を設定者に支払う必要がある。(清算義務)さらに差額がない場合には、その旨を通知することを要する。
■担保仮登記の所有権移転時期
通常の所有権移転請求権仮登記や停止条件付所有権移転仮登記の場合は、予約完結の意思表示又は条件成就によりただちに所有権が移転する。一方、仮登記担保法が適用される場合は、契約において所有権が移転するものとされている日以降に、債権者がその契約の相手方である債務者又は第三者(以下、債務者等という。)に対し清算金の見積額を通知し、その通知が債務者等に到達した日から2か月を経過した時に所有権が移転する。(仮担2条)つまり、担保仮登記に基づく本登記を申請する場合、本登記の登記原因日付(所有権が移転した日)は、仮登記の原因日付よりも少なくとも2か月を経過した後の日付でなければならないことになる。(S54.4.21民三2592号)
■後順位担保権者(先取特権・質権・抵当権)等の物上代位
後順位担保権者等は、清算金見積額を相当と判断したとき、債務者又は第三者に支払われる前に差し押えることにより、これに物上代位することができる。この差押があると,仮登記担保権者は,清算金を供託して債務を免れることができる。(仮担7条)。
この場合、後述のとおり本登記の添付情報の後順位担保権者等の承諾を証する情報等に代えて、差押命令正本及び供託書正本等を提供して本登記申請ができる。(仮担18条)
ただし、この方法によるときは、清算金の供託後1か月が経過していなければ本登記申請はできない(仮担18条)なお、原則どおり承諾を証する情報を提供する場合には,このような本登記時期の制限はない)。