- 不動産登記法ー5.根抵当権に関する登記
- 9.根抵当権の抹消
- 根抵当権の抹消
- Sec.1
1根抵当権の抹消
■根抵当権の消滅原因
(1) 元本確定前後を問わずに消滅する場合
① 根抵当権設定契約の解除
② 根抵当権の放棄
③ 目的不動産の滅失 等
(2) 元本確定後に消滅する場合
この場合、元本が確定したことが登記記録上、明らかでなければ、根抵当権の抹消登記の前提として元本確定登記をする必要がある。
① 被担保債権の消滅(弁済、免除、放棄等)
② 根抵当権の消滅請求(民法398条の22 1項)
元本の確定後において現に存する債権の額が極度額を超えている場合に、物上保証人、抵当不動産の第三取得者、抵当不動産を目的とした地上権者、永小作権、対抗力を有する賃借権者が根抵当権の極度額に相当する金額を払い渡し又は供託をして、根抵当権の消滅を請求することができる。(民法398条の22 1項 )消滅請求によって根抵当権は消滅するので、その登記の抹消を申請することができる。
「弁済」による根抵当権の抹消登記 申請書 記載例
(*1)根抵当権の登記の抹消を申請する場合に、登記上の利害関係を有する第三者が存在するときは、申請情報と併せて、その者が作成した承諾を証する情報又はその者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供することを要する。根抵当権の登記が抹消されると、その根抵当権を目的とした第三者の権利は登記官の職権によって抹消されてしまうからである。
(*2)不動産1個につき1000円である。(登録免許税法別表一、一、(十五))
(完了後の登記記録)
「消滅請求」による根抵当権の抹消登記 申請書 記載例
(*1)消滅請求をした物上保証人、抵当不動産の第三取得者、又は抵当不動産を目的とした地上権者、永小作権、対抗力を有する賃借権者が登記権利者となる。必ずしも設定者たる所有権登記名義人が権利者になるわけではない。
■元本確定後に根抵当権の準共有者の1人が債権の全額弁済を受けた場合
Aの根抵当権の元本確定後に、被担保債権の一部が譲渡又は代位弁済によりCに移転した場合、当該根抵当権はAとCの準共有となり、A及びCの元本の他、利息・損害金を極度額まで担保することになる。
その後、A又はCが全額弁済を受けた場合、1000万円の極度額の根抵当権は、未だ弁済を受けていないA又はCの債権のみを担保する根抵当権となる。よってその旨の登記をする必要がある。
(1) 一部譲渡を受けた者(C)が全額弁済を受けた場合
(完了後の登記記録)
(2) 原根抵当権者(A)が全額弁済を受けた場合
共有者の一人への弁済 抵当権と元本確定後の根抵当権の比較
※ 抵当権の場合には、債権額の減額変更登記をすることになるが、根抵当権の場合には、極度額自体は減額されない点で異なる。